「コロナパニック売り」後の相場はどうなるのか 途方もない恐怖の後に待ち受ける相場の行方

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まず、上述の日米株価の底値は、どのように形成されたかと言えば、一種の「パニック売り」だったと考える。その背景としては、新型コロナウイルスが従来のアジア諸国だけではなく、欧米諸国でも急速に蔓延し、経済や企業収益の先行きが、世界的に全く不透明になったことが挙げられる。

市場は、不透明感を最も嫌う。「今回の経済や企業収益の悪化が、さほどでないか深刻なのか、全くわからない」という不透明感が投資家のパニック心理を広げることになった、と推察される。

投資家のS&P500指数についての予想価格変動率(先行きの同株価指数のブレ度合い)を示す、VIX指数(別名「恐怖指数」)も一時大きく上昇し、3月18日(水)にはザラ場で85超に達した。80超えは、リーマンショック時(2018年10月)以来のことだ。これも、投資家のパニック度合いの高まりを示していたと言える。以上をまとめると、3月のアメリカの株価の急速な下落は、パニックによる暴落第1波だった、と言えるわけだ。

その後は、まだ少しずつではあるが、経済行動の混乱が生じた後の経済データが、公表され始めた。そうした経済統計は、もちろん大きく悪くなっている。特に、このところのアメリカの雇用関連統計は、悪化が著しい。

具体的な数値を挙げると、週次の新規失業保険件数については、3月26日(木)発表分は330万件、4月2日(木)発表分は686万件に急増した。4月9日(木)に公表された数値は660万件と鈍化はしたが、かなりの高水準で推移している。4月3日(金)には、3月の非農業部門雇用者数が、前月比で70.1万人も減少したと発表された。

市場には着実な悪化が不透明感よりも「まだまし」

ところが市場の反応は、と言えば、新規失業保険申請件数のいずれの発表日も、NYダウは前日比で上昇した。雇用統計の発表日には、主要な米株価指数はさすがに前日比で下落はした。しかし、その下落率は2%に満たない。加えて当日は、米ドル相場は対主要通貨で上昇した。前述のVIX指数も、今では41~42という水準に低下している。

通常であれば、アメリカの株価や米ドル相場が暴落してもおかしくないような、雇用関連統計の数値が発表されたにもかかわらず、市場が平静に推移したわけだ。

その理由は、市場は前述のように、不透明感を最も嫌うからではないだろうか。そうした不透明感よりも、「数値で測って経済がこれだけ大幅に悪くなった」という、着実な悪化の方を市場はましだと判断しているのだろう。数値で悪化の度合いが具体的に知れれば、株式や外貨が買いなのか売りなのかの判断を投資家がつけやすくなり、かえって市場が安定すると解釈できる。

次ページとはいえ実態経済が悪化するのはこれから
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