【産業天気図・造船・重機】量産品の低迷長期化に円高追い打ち、ただ来期は鋼材価格下落でやや上向き

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 苦境に追い打ちをかけているのが急速な円高だ。特に三菱重工とIHIの想定為替レートは期初に見込んだ1ドル95円のまま。為替感応度は三菱重工が1円円高で22億円の営業利益減、IHIも7億円の営業利益減で、業績の下振れ材料となっている。川崎重工、住友重機械工業、三井造船の3社の為替想定は1ドル90円と実勢に近い。

造船・重機業界の環境は厳しいが、来10年度には若干の改善が期待できそうだ。量産品の一部に底離れの気配が見えるほか、鋼材価格下落も寄与する想定。このため、業界の天気図は10年4月~10月には「曇り」に一段改善できそうだ。

一方プラント業界に目を転じると、化学プラントはなお低調ながら、原油高を受けて石油・ガス関連のプロジェクトは息を吹き返している。これを受けて独り勝ち状態なのが最大手の日揮<1963>だ。大型受注が相次ぎ、通期で5000億円を見込んでいた受注計画を4~9月期でほぼ達成。目標額を7000億円(前期比595億円増)に引き上げた。2012年後半から13年にかけて中東ではプラント建設ラッシュが予想されており、現在から熟練工などの確保に手を打っている。

(西村 豪太)

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