コロナ死亡者数「見逃しが多い」という深刻事情 アメリカでは相当数がカウントされていない
正確な死者数を把握することで、国家備蓄の人工呼吸器などのリソースを、国内で最も緊急に必要としている地域に絞って提供する方法などを、連邦政府に通知することもできる。
3月、コロナウイルスの流行がアメリカに広がり始めたとき、カリフォルニア州サンガブリエルに住む43歳のセールスマン、ジュリオ・ラミレスが出張から帰宅すると、発熱、咳、体の痛みを感じ始めた。翌日までには、味覚と嗅覚を失っていた。
妻であるジュリー・ムリーリョは数日後に夫を緊急治療クリニックに連れて行った。夫はかなりの体力を失っており、車椅子に乗せなければならなかった。医師は抗生物質と咳止めシロップを処方し、胸部X線はしたものの、コロナウイルスの検査はしなかったと彼女は言う。
検査を病院側に拒まれた
出張から帰ってきてからたった1週間ほど経ったころに、ムリーリョは夫がベッドで死亡しているのを発見した。彼女は「最初から検査をしてくれとずっと頼み込んだのに」と言うが、病院側がそれを拒んだという。
悔しい思いから、ムリーリョは友人の協力を得て、CDCに死後検査を依頼した。さらに民間企業を雇い、検死を行い、地方および連邦当局によるコロナウイルス検査を訴えた。
死後19日経ったある土曜日の午後に、ムリーリョはロサンゼルス郡公衆衛生局から電話を受けたと言う。保健局は、夫の遺体が眠る葬儀場に行って、コロナウイルス検査のためにサンプルを採取した、とのことであった。そして夫の遺体からは陽性反応が出た。
発表された声明で、保健局は「多くのケース」で死後検査が行われたと述べたが、ラミレスのケースについての詳細やコメントは提供されなかった。
(執筆:Sarah Kliff記者、Julie Bosman記者)
(C)2020 The New York Times News Services
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