ホンダが2輪で挑む部品調達の大改革

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「C8G3」を突き詰めると、日本をはじめ先進国から部品メーカーの製造拠点が流出するのではという懸念も当然ながら湧く。ただ「そこにこだわって競争を回避すると、米ビッグスリーではないが衰退していくことになる」(山下常務)。

山下常務の頭をよぎるのは、1980年代の貿易摩擦問題だ。米国で4輪車生産を始めたとき、米国製部品を使えと強い圧力を受けた。ホンダは「QCD(品質、コスト、納期)がよければ日本製か米国製かは関係ない」と反発した経緯がある。「いいものを安くお客さんに届けるのがホンダの事業目的。(過去の米国と)同じことはできない。インドから買えば安いのに、日本の雇用を守るために日本製しか買わないとは言えない」。同時に今回の改革をきっかけに日系部品メーカーが奮起し、革新を呼び込むはずだと信じてもいる。

自動車危機にあって底堅く売れる2輪車は、ホンダが黒字を堅持する救世主となった。今後はC8G3の適用車がモデルチェンジを機に次々と市場投入されていく。1台当たりの収益が高まることで、収益面でもさらに貢献することになる。

二番底懸念が強まる世界経済。猛烈な円高。輸出産業への逆風はますます強まる。ホンダは将来的にC8G3の方式を4輪車にも応用したい考えだ。スズキと独フォルクスワーゲンのように国際提携の動きも起きる中、ホンダは内に秘める可能性をまだ強く信じている。

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高橋 由里 東洋経済 記者

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たかはし ゆり / Yuri Takahashi

早稲田大学政治経済学部卒業後、東洋経済新報社に入社。自動車、航空、医薬品業界などを担当しながら、主に『週刊東洋経済』編集部でさまざまなテーマの特集を作ってきた。2014年~2016年まで『週刊東洋経済』編集長。現在は出版局で書籍の編集を行っている。

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