テレビが再放送をなかなか本格化できない事情 制約多く迷う間に「コロナチャンネル化」の一方

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「できれば再放送を避けたい」とテレビ業界で言われている、その他の理由は主に下記の10個。

1.「安易に再放送を選ばず、再編集で面白い番組を作るべき」という基本スタンス。
2.内容、回数、長さ、季節などが、放送中の番組や視聴ターゲット層と合わない。
3.スポンサーの理解が得られない(なぜこの番組を放送し、見てもらえるのか)。
4.出演者の所属事務所との調整が難しい(放送日が古いほど難色を示されがち)。
5.他番組や、DVD、オンデマンドなどの関係で、社内調整が求められる。
6.出演者の不祥事が続き、コンプライアンスが厳しくなり、放送可能な作品が減った。
7.現在の生活様式や価値観とは異なるものが多く、ターゲット層に刺さらない。
8.これまで再放送では視聴率を獲得できなかった。
9.外部スタッフの報酬が発生しない(彼らが弱体化したら再開後の番組制作が厳しい)。
10.再放送の可能回数など、その可否が契約に交わされているケースがある。

テレビ局員たちには越えるべきハードルが多く、「作り手としてどうあるべきか」「スポンサーにダメージを与えられない」「外部スタッフの不安を軽減させたい」などのさまざまな思いを抱えた複雑な状況。その中には「視聴者の期待に応えたい」という思いも含まれていますが、局全体が初めてのことで混乱しているため、スピーディーな決定が難しい状況のようなのです。

最も再放送のハードルが低いのはNHK

4月8日夜、「プロフェッショナル仕事の流儀」(NHK)がツイッターで再放送のリクエストを募ったところ、たった1日あまりで約1万件ものコメントが寄せられました。最も多かったのはSMAPを熱望する声だったようですが、これは見たい番組に対する熱量の高さとともに、「在宅率が高い今こそリクエストを募るべき」という視聴者感情の表れではないでしょうか。

NHKは通常時から深夜帯だけでなくプライム帯でも、さまざまなジャンルの番組を再放送しているうえに、スポンサーや芸能事務所などの制約も少なく、「感染予防のために、外部から出演者を招く収録や生放送を見送る」という方針を発表した今、再放送の動きが最も活発なテレビ局となりそうです。

一方、再放送をめぐる民放の動きを見ていくと、バラエティは再編集による「特別編」で対応している番組がほとんど。次にドラマは新作の撮影が止まってしまったことで、「第1話を放送せずに延期して、再放送で穴埋めしよう」という編成方針が見えはじめています。

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