婚活をするようなタイプの男ではないと思っていたので、余計にびっくりしたという。
「それで、急に結婚を身近に感じて、自分も婚活したら結婚できるんじゃないかと思ったんです」
そして、もし結婚できたのなら、子どもを授かって、家族を築きたいという願望も頭をもたげた。
こうしてスタートした婚活だったが、お見合いしたものの、お付き合いに入ってもなかなか結婚へと進める相手を見つけることができずにいた。陽一がお断りを入れる場合もあったし、女性から断られる場合もあった。婚活は、振ったり振られたりの繰り返しなので致し方ない。うまくいかないままに、8カ月近くが経っていた。
そんなときに、マーからお見合いの申し込みがあった。
断るつもりだった中国人女性とのお見合い
「中国人の女性は身近にいないので結婚するイメージはわかないのですが、せっかくの機会なのでお会いしてみようかと思います」
お見合いは、マーの事務所の一室で行われることになった。私も同行し、30分程度はお見合いに同席をすることにした。
相談所の仲人と一緒に現れたマーは、色白の清楚な女性だった。マーに着席を促しながら、仲人が言った。
「彼女は初めてのお見合いなんですよ。『普段はお化粧をしたことがない』と言うから、『ちゃんとお化粧してくるのよ』と言ったんです。そうしたら、昨日化粧品を一揃え買ったんですって」
パールピンクの口元が可愛らしかったので、私が、「ピンクの口紅が似合っていますよ」と言うと、顔を真っ赤にして、恥ずかしそうにうつむき笑顔を作った。
なぜ日本に来て働こうと思ったのかというと、日本人男性と結婚した叔母が都内に住んでいて、何度か日本を訪れているうちに、日本が大好きになったからだという。また叔母は、3人の子どもにも恵まれて、幸せに暮らしていた。
「仕事が休みの日に叔母さんの家に遊びに行って、甥っ子や姪っ子と遊ぶことが一番楽しいんです。叔母さんの家族を見ていると、自分もできたら日本の男性と結婚して、日本で暮らしたいと思うようになりました」
30分くらい同席したら私は帰るつもりでいたが、興味深い話が次々に出てくるし、彼女の仲人もずっと同席していたので、結局最後までいてしまった。
お見合いを終えた陽一が言った。
「お見合いしてよかった。出会えたことがラッキーでした。朝、家を出るときには、言葉や文化の違う国際結婚はやっぱり難しいだろうから、8割方お断りをしようと思って、ここに来たんです。でも、話をしてみたら、素朴で純真で素敵な女性でした。交際希望を出そうと思います」
その日、マーからも“交際希望”が来て、2人は交際に入った。
お見合いは日曜日だったが、次の土曜日と日曜日は、2日間連続でデートをしたようだった。
デート終えた陽一から、連絡が入った。
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