スノーピーク、「32歳3代目新社長」でどう変わる 「世襲批判」「コロナ」、逆風下での出発

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――社長就任の話はいつ頃にあったのですか。

2018年末に会長から社長交代の打診があったが、当初、交代のタイミングは2019年3月と言われた。当時はアパレルの事業責任者だったことに加え、2018年1月から企画開発全体の責任者にもなっていた。アパレル事業を引き継ぐことと、開発部門を作り上げるのにもう少し時間が必要だった、そのため、「あと1年待ってほしい」と伝えた。

1年かけてアパレル事業を後任に手渡せるよう準備を進めていた2019年末に会長から改めて社長交代の打診があり、「やります」と伝えた。

コロナ禍で高まったキャンプ需要

――コロナ禍で景気悪化による消費の冷え込みも想定されます。スノーピークにとって逆風が吹き荒れる中の船出となりました。

山井梨沙(やまい・りさ)/1987年新潟県生まれ。文化ファッション大学院大学修士課程修了後、国内ファッションブランドでのデザイナーアシスタントを経て、2012年にスノーピーク入社。その後、アパレル部門を立ち上げる。2020年3月から現職(記者撮影)

混乱した状況の中でわかったのが、人にとっての「自然」の存在の重要性だ。今後はわからないが、2月末の時点では密閉、密集、密接の「3密」を避けつつ、余暇を過ごせる場所としてキャンプ場の需要が高まり、当社直営キャンプ場の2020年1~3月の稼働率は前年比130~150%となった。

「自然」を軸にするキャンプ用品メーカーとして、社会的な問題と対峙しながら、世の中に必要とされる事業展開ができると改めて確信した。

今回の新型コロナウイルスだけでなく、大災害に備えるためにも、キャンプスキルは役に立つ。自然の中で与えられた条件や状況を判断し、行動することに慣れていれば、不安に駆られてトイレットペーパーを買いだめするようなことはなくなる。キャンプスキルがある人を増やして、環境問題や社会的な問題の解決につなげていきたい。

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