コロナ禍でも授業を続行した「学習塾」の大問題 「対面授業NG」要請に従わなかった塾も多数
実はこの対面授業、経済産業省はすでに2月下旬に「NG」を全国学習塾協会に伝えている。同省サービス政策課によると、2月末の全国一斉休校の要請を受け、安全な塾運営がなされるよういくつか通達をしている。
「学習塾では対面授業は控え、授業もなるべく振り替えるように」「(春休みなどをきっかけにした)キャンペーン顧客獲得に動くのはやめるように」
これらとともに、オンラインによる講義の導入などを働きかけた。取材で親たちの話を聞くと、3月前半をいったん休講にしたものの、「緩み始めた」と言われる3月後半から再開した塾も少なくないようだ。
全国学習塾協会もコロナ感染予防のガイドラインを作るなどしたが、3月に入ると刻一刻と状況が変化。
「学習塾で春期講習やGW合宿があるらしい」「対策が不十分なまま大人数での授業が行われている」と同省に電話やメールが多く寄せられた。
これを受けて再び安全対策の徹底を経産省から要請された全国学習塾協会は、会長名で「1日も早くこの事態の終息につなげていけるようにご理解とご協力を」と、「換気の悪い密閉空間」「多くの人の密集」「近距離での会話」の条件が重なる行動などを自粛するよう要請した。
リスク対応に乖離が生じる危険性も
これをそのまま受け取れば、塾を開講する方法はなかなか見つからないはずだ。しかしながら、あくまで要請であり、厳守したか否かのチェックもなければ、罰則規定もない。この「要請であって強制ではない」という塾側の「善意」に決定を任されてしまう状況は、緊急事態宣言がなされても変わりはない。
そのうえ、協会傘下の塾は大手が中心で、中堅塾や個人塾は対象から外れてしまう。学習塾は全国に2万~3万といわれ、すべてに働きかけられてはいない。おのおのの塾でリスク管理の乖離が生まれることは容易に想像できる。
同省は4月2日、大手25社などを集めた連絡会議をオンラインで開催。あらためて対策の徹底を要請した。
具体的には「例えば、家庭で検温をしっかりする、といったことが塾協会のガイドラインでは書かれていないので徹底するよう伝えた」そうだ。対する大手塾からは「オンライン授業を行うための設備投資への補助を行ってほしい」という意見が出たという。
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