短大卒女性より四大卒女性の幸福度が低い理由 高学歴・高所得だから幸せとは限らない?

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では人の心理・性格は学歴別になぜ異なるのかと問われれば、心理学の素人である筆者は答えられない。明るい人、あるいは他人とうまくやっていける人はなんとなく幸せを感じる程度が強いだろうな、と直感として理解できるのではないかとだけ述べておこう。

第4に、女性においても短大・高専卒のほうが四大卒よりも幸福感の強い理由を考える必要がある。統計では、高学歴の人ほど未婚率が高く、短大・高専卒、あるいは高卒の女性のほうが、大卒の女性よりも幸せな結婚・家庭生活を送っている可能性が高い。

もっと重要なことは、仕事に一生懸命になっている女性(大卒女性に多いと考えてよい)の幸福度はそう高いとはいえないが、短大・高専卒の人は仕事でバリバリ働くよりも家庭での幸せを求めていると考えられ、仕事と家庭をうまくバランスさせているので、幸福度が高くなる可能性が高いと考えられる。

最後に加えておきたいことがある。幸福感の程度は年齢による差が無視できない。一般に高齢になるにつれて幸福感が高まるのである。ここでの標本は年齢によるコントロールをしていないので、短大・高専卒に中年の女性がやや多いことを多少は割り引く必要はあるが、結論までを変える必要はない。

せっかく勉強して大学に入っても

女性間の格差は、単に学歴や所得だけでは計れない。高学歴で高所得であれば幸福度が高いとは限らないのである。筆者が行った研究では、大卒女性よりも短大卒女性のほうが幸福度が少し高く、既婚女性は家庭内で自分の稼ぎが増えると幸福度が下がってしまう。

一生懸命勉強し、働いているのに幸福度が上がらないという女性特有の問題を解決するには、どうすればいいのか。社会全体として取り組んでいくべきだと考える。

橘木 俊詔 京都女子大学客員教授、京都大学名誉教授

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たちばなき としあき / Toshiaki Tachibanaki

1943年生まれ。小樽商科大学卒業、大阪大学大学院修士課程修了、ジョンズ・ホプキンス大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。大阪大学、京都大学教授、同志社大学特別客員教授を経て、現在、京都女子大学客員教授、京都大学名誉教授。その間、仏、米、英、独の大学や研究所で研究と教育に携わり、経済企画庁、日本銀行、財務省、経済産業省などの研究所で客員研究員等を兼務。元・日本経済学会会長。専攻は労働経済学、公共経済学。
編著を含めて著書は日本語・英語で100冊以上。日本語・英語・仏語の論文多数。著書に、『格差社会』(岩波新書)、『女女格差』(東洋経済新報社)、『「幸せ」の経済学』(岩波書店)ほか。

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