短大卒女性より四大卒女性の幸福度が低い理由 高学歴・高所得だから幸せとは限らない?

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行動経済学の開拓者の1人であるダニエル・カーネマンと共同研究者による研究では、筆者が主張してきた「日本人が働くことによって生活への満足度を感じる程度は減少している」という事実を、別の観点から説明している(Kahneman, et al.〈2004〉)。すなわち、人々が日々の生活から楽しさを感じるのは決して仕事ではなく、余暇、運動、家族や友人との食事や付き合いからである、と結論づけている。

仕事からの満足度が低いのであれば、たとえ質の高い仕事に就いて高い報酬を得ていたとしても、満足度ないし幸福度は高くない可能性があると言い換えられる。

高い教育を受けた人は、一般論として報酬の高い職業に就くことが多いが、そういう人であっても日々の生活満足度は高くないことがありうると想定できる。これまた学歴と幸福の直接的な相関を主張できない証拠となる。

日本人の幸福度と学歴は相関するのか

では、日本の研究はあるのだろうか。前回の記事(「『働く妻』が働けば働くほど不幸になる深刻理由」)の内容は既婚女性で働く人に関する包括的な研究であるが、日本人全体で評価するとどうであろうか。

大竹文雄・白石小百合・筒井義郎編著『日本の幸福度』によると、学歴の高い人ほど幸福度が高いという事実を得ているが、その解釈として高い学歴の人は高い所得を得ていることが直接の原因であるとして、学歴の効果は間接的に影響を与えているにすぎない可能性を示唆した。

筆者は、『「幸せ」の経済学』の中で、男女別と学歴別に幸福度の違いを分析した。また、それぞれの学歴別に、心理特性も分析している。

まずは女性のほうが男性よりも幸福度が高く、その差にはかなりのものがある。

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