スバル「全工場停止」コロナ禍の強烈すぎる痛手 世界生産の6割を担う群馬製作所が操業休止

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ところが、そのアメリカで新型コロナの猛威が拡大。4月1日時点で16万3000人以上が感染し、すでに2860人が死亡した。感染拡大を食い止めるため、ニューヨークやワシントンといった主要都市では厳しい外出制限が敷かれている。特にこうした東海岸はスバルの地盤だけに販売への影響は甚大で、国内工場の操業停止に直結した。

アメリカでの新車販売台数は8位

スバルにとってのアメリカは、まさに会社の屋台骨を担う最重要マーケットだ。自動車メーカーとしては小規模ながら、得意とするAWD(四輪駆動)技術などを武器にして、東海岸など降雪が多い地域を中心に販売シェアを伸ばしてきた。

旗艦車種のステーションワゴン「レガシィ」などが牽引役となり、アメリカでの新車販売台数は順調に拡大。2011年度の28万台から2016年度には70万台近くに達し、世界販売でも100万台の大台に乗った。ちなみに世界中のライバルが集まるアメリカの市場でスバルは新車販売台数8位(2019年)にランクインしており、現地での人気ぶりがうかがえる。

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しかも、台数だけではない。スバルはアメリカで高いブランド力を確立しており、さほど値引きせずとも店頭で売れる。このため、スバルのアメリカ事業は利益率が高く、ほかの日系自動車メーカーがうらやむほどだ。

そのアメリカ事業が直面する非常事態。現地への輸出車も担う群馬製作所の従業員数は直近で約1万人(臨時雇用者を含む)に上り、周辺には多くの下請け企業が集積する。新型コロナによるアメリカの社会的混乱が長引けば、スバルの業績のみならず、国内の雇用にも重大な影響が及ぶ。

中野 大樹 東洋経済 記者

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なかの たいじゅ / Taiju Nakano

大阪府出身。早稲田大学法学部卒。副専攻として同大学でジャーナリズムを修了。学生時代リユース業界専門新聞の「リサイクル通信」・地域メディアの「高田馬場新聞」で、リユース業界や地域の居酒屋を取材。無人島研究会に所属していた。趣味は飲み歩きと読書、アウトドア、離島。コンビニ業界を担当。

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