ディスカバリーが「有料配信」に踏み切った事情 日本法人社長が語る有料放送と動画配信

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――今まで放送がメインでしたが、配信でも会員数を伸ばすことはできるのでしょうか。

有料放送では(専用アンテナが必要になるなど)加入しにくい障壁があったが、配信ではそれがないことは追い風だ。さらに、放送では車番組だけを見たいという人も、ほかの番組を見なければいけなかった。しかし、Dplayであれば自分の好きな番組だけを見てもらえる強みができる。

Dplayの開始に伴い、今後は収益体系も大きく変化していく。現在は有料放送の加入者からの収入と広告がほとんどだ。今後はそうした有料放送からの収入とDplayでの有料会員の収入、広告ビジネスやライセンスビジネスでそれぞれ3分の1ずつにしていきたい。会員数の目標は具体的には言えないが、放送事業を行っている会社の中でもトップクラスを目指したい。

テレビ局と違い全力投球できる

――ネットフリックスが日本で約300万人もの会員がいる一方、日本の動画配信事業者では、フジテレビ系のFOD(会員数80万人強)やTBS・テレビ東京系のParavi(会員数非公開)など苦戦している事業者も多いと言われています。その状況下でディスカバリーはトップクラスになれるのでしょうか。

マーケットの大きさは十分にあり、不可能ではない。いろいろな提携を含めて施策を行っていきたい。放送局系との最大の違いは「オールイン(全力投球)」できるかどうか。地上波の放送局は地上波テレビの収入が大きいのでわれわれとは違う立場にある。放送局と比較したとき、配信事業により注力することができる。ただ、こうした目標もアメリカの本社からは小さい数字だとも言われている。

制作費面でもわれわれに強みがある。ディスカバリーはノンフィクションだけを制作している。ノンフィクション作品はフィクションと比べ、制作コストが安い。さらに、放送・配信、国内・海外と使い道が多様にあるのでコンテンツの効率性が高いことも強みだ。

井上 昌也 東洋経済 記者

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いのうえ まさや / Masaya Inoue

慶應義塾大学法学部政治学科卒業、同大メディア・コミュニケーション研究所修了。2019年東洋経済新報社に入社。現在はテレビ業界や動画配信、エンタメなどを担当。趣味は演劇鑑賞、スポーツ観戦。

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