ディスカバリーが「有料配信」に踏み切った事情 日本法人社長が語る有料放送と動画配信
――無料放送やネット配信のメリットは何でしょうか。
無料放送では日本BS放送(BS11)と連携し、ゴールデンタイム含め週4時間、番組を放送し広告収入を得ている。
ネット配信では、2018年夏からそれまで宣伝動画などがメインだったYouTubeでディスカバリーの番組そのものを公開し始めた。その結果、現在ではチャンネル登録者数80万人にまで成長した。今までの有料放送では、日本で2割ほどの世帯にしかアプローチできていなかったが、YouTubeを通じて多くの人にコンテンツを提供することができた。
有料放送会社の中では、YouTubeに番組を公開すると有料放送の会員数が減少することを懸念する声も聞こえてくる。しかし、われわれの場合は有料放送ではリーチできなかった20代など新たな顧客を発掘することができた。その結果、若い世代が有料放送に加入してくれたりすることで、ビジネス面でも効果があった。
――とはいえ、これまで有料コンテンツだったものを、YouTubeで配信することに社内から反発の声はなかったのでしょうか。
いまでも社内では「本当に大丈夫か」という声はある。ただ、リスクを取ってやらないとわからないこともある。私は前職で9年間YouTubeにいたので、他社の戦略や成功事例も見てきた。放送一辺倒では厳しいこともあり、バランスをとって配信すれば、放送・ネットともにプラスになると感じていた。
3年後の視聴者数は2000万人以上に
――YouTubeに続いて、2019年9月から「Dplay」という配信サービスを始めました。
Dplayは世界10カ国でローンチしているサービスだ。ノンフィクションの番組をそろえている。日本以外はすべてヨーロッパだが、2021年度中にその倍くらいの国・地域で展開していく予定だ。日本国内では、現在は1000万人の視聴者数を、有料放送やYouTube、Dplayなども含めて3年後をメドに倍の2000万人以上にしたい。
DplayはAVOD(広告付き無料型動画配信)で見ることができる。この広告事業は計画通り順調に伸びている。始めた当初はYouTubeに近い20~30代の人が多かったが、編成の仕方や宣伝を変えた結果、40~50代が増えてきている。そのため競合他社の配信サービスとは少し違う層が増えている。
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