デフレとインフレの経済学 法專充男著
政府、日銀がデフレ入りを「再宣言」した。
グローバル化の進展によって世界的な一物一価が進みやすくなるなかで、「飛びぬけて高い」日本の物価水準が継続的に下落するデフレに陥ったのが1994年度だった。2007年度に脱したはずだったが、リーマンショックを経て、前年度末から再びデフレ入りを余儀なくされている。
デフレは日本経済に深刻な影響を与える。それは、金融仲介システムの機能低下、実質金利の高止まりを通じて民間部門に、税収・歳出・債務の三つの面から政府部門に影響を与え、中でも年金はデフレに弱い。本書は、対策の基本として、物価中立型経済システムの構築を提言する。「世界的低インフレの時代」脱出の鍵はアメリカ、中国にあるとして、詳細な分析も試みる。
資産デフレが「議論の拡散を防ぐ意味もあって」分析対象から外されている点に不満は残るが、デフレの今後を考えるうえで、貴重な材料を提供してくれる。
日本評論社 2625円
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