パナソニックがぶち上げる復活へのシナリオ 2018年度売上高10兆円を達成できるか

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家電事業一元化の狙い

――AVC社の家電事業のアプライアンス社への一元化だが、具体的にはどのように融合させるのか。

アプライアンス社はこれまで、ローカルで生活密着型な商品を作ってきた。グローバルなコスト競争力があったかというと十分ではなく、日本の付加価値商品が中心だった。

一方、AVC社はグローバル化を進めてきた。当然エレクトロニクス技術もAVCにはある。つまり、アプライアンス社とAVC社が持っているものは、かなり違う。違うものがうまく融合すれば、新たな強みになると考えている。

販売部門やマーケティング部門も、アプライアンス社とAVC社でこれまで分かれていた。そのため、スピーディな行動がなかなか起こせなかった。AVC社の家電事業がAP社に移管することで、海外での販売やマーケティング部門の一体化が進むことにもなる。

――家電事業を一元化することで、具体的にいつ、どんな商品が出てくるのか。

早いものは2014年度に出てくるし、次の年度になるものもある。今はアプライアンス社とAVC社の家電部門でワーキンググループをつくり、何を変えていくか、さまざまな人の知恵を集めて、家電事業を見直す作業を進めている段階だ。

もう一つ重要なのは人材の交流だ。これまでもアプライアンス社にAVC社のグローバルな人材を送り込むということは、どんどん進めてきた。今後はより一歩、融合したかたちに変えていく。

商品についても、たとえば冷蔵庫が今の冷蔵庫のままでいいのか。掃除機も大きく変貌しているが、当社は出遅れている。それはなぜか。そういうことを考えて、より多くの人的リソースが入り混じってやることで、もっとチャレンジングな家電を出せるような形にしたい。

(撮影:尾形文繁)

許斐 健太 『会社四季報 業界地図』 編集長

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このみ けんた / Kenta Konomi

慶応義塾大学卒業後、PHP研究所を経て東洋経済新報社に入社。電機業界担当記者や『業界地図』編集長を経て、『週刊東洋経済』副編集長として『「食える子」を育てる』『ライフ・シフト実践編』などを担当。2021年秋リリースの「業界地図デジタル」プロジェクトマネジャー、2022年秋より「業界地図」編集長を兼務。

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