パナソニックがぶち上げる復活へのシナリオ 2018年度売上高10兆円を達成できるか

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従来の10兆円目標とは違う

――パナソニックは過去にも10兆円という目標を掲げたが、未達に終わっている。今回は過去と何が違うのか。

たしかに売上高10兆円は、旧松下電器の時代から何度もトライして弾き返されてきた。それだけに今回は何としても達成したいと思っている。

これまでは売れば売るほど利益が落ちていく事業も含めて、10兆円を目指していた。伸びている事業と縮む事業が混在していた。それに対し今は、体質的には売り上げを伸ばせば利益が上がっていく形になっている。何をやれば赤字になるのかも、かなり見えてきている。

それから世の中の成長領域に、われわれがどれだけシフトできるかという考え方で、経営リソースをシフトさせるという方針を明確にしている。

――人員や工場はどうしていくのか。

最初から規模のイメージがあるわけではない。5つの事業分野(家電、住宅、車載、法人向けソリューション、デバイス)と、日本、欧米、その他の海外戦略地域という3つの地域とを見て、どんな組み合わせがいちばんいいのか、精度を上げて進めようとしているところだ。社内に事業を抱えるのがいいのか、何がいちばん成長を担保できるか、という視点で見直している。したがって、一概に合計していくらとは考えていない。

――成長に向けて、どんな仕込みをしているのか。

いろいろと仕込んではいるが、発表できるものはない。車載の売上高2兆円については、かなり見えてきている。住宅についても、やるべきことは確実に実行できている。そういう意味では、仕込みは着実に進んでいる。法人向けのソリューションについては、各カンパニーにさまざまな事業がある。これらの事業のシナジーをいかに生むかについて、AVC社のグローバルなネットワークを核にしてやっていく。

――米テスラモーターズがサプライヤーと共同で50億ドルを投じ、リチウムイオン電池工場を建設する計画を発表した。(テスラに電池を供給する)パナソニックも投資するのか。
 
 すでに発表しているように、テスラとは2014年から2017年までに約20億セルのリチウムイオン電池の供給契約を結んでいる。そこに向けた投資は進めている。
 
 その後については、テスラは(高価格帯の)モデルSクラスより、ボリュームゾーンの車種を生産するため、工場をつくりたいのだと思う。その思いについては、できるだけ共有し、パートナーシップを組みたいが、投資リスクが大きいのは間違いない。そのため、ここで投資スタンスを申し上げることはできない。ただ、より大きな工場建設の投資を実行し、低価格の電池が供給できたとき、われわれは圧倒的な競争力を持つことになる。そのための努力を一生懸命している段階だ。

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