新型コロナウイルスの潜伏期間や、発症から検査の報告が上がってくるまでに時間がかかることからすると、40人を超えるまでに増加した感染者は、およそ2週間前、もしくはそれ以前に感染していたことがうかがえる。
初めて40人を超えた25日に発覚した感染者は、その2週間前の水曜日に感染したとすると、イベント自粛要請期間中の末期には、都内で感染が拡大していたことになる。つまり、政府の感染防止対策も十分ではなかったことになる。
しかも、そんな自粛ムードに疲れたのか、3月20日からの3連休は、以前に比べて外に出る人の数も多かった。東京の桜も開花し、名所として知られる目黒川沿いには、例年のように人が密集して、屋台まで出る騒ぎだった。
この時に感染しているとすれば、それから2週間後にさらに大きな数字となって現れることは避けられない。それが4月の最初の週末にあたる。
文部科学省は、東京オリンピックの延期が決まった同じ24日に、感染予防策の指針を示して、4月からの学校の再開を決定している。こんな状況で、学校再開が可能になるのだろうか。そもそも、全国の一斉休校も安倍首相の政治判断による。
もはや、国も東京都も、対策が場当たり的だ。その度に「感染防止に極めて重要」(首相)、「感染拡大の重大局面」(都知事)を繰り返す。一貫性がないから、何を信じていいのか、わからなくなる。
感染経路不明の感染者が東京で急増している
しかも、都の発表が後押しになって、26日に改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく政府対策本部を設置している。これで首相による緊急事態宣言も可能になる。翌27日には小池都知事が、桜の咲くこの時期のすべての都立公園や都が管理する河川敷で、飲食の宴会を伴わない場合でも、花見を控えるよう要請。上野公園と井の頭公園、代々木公園では、同日から一部の園路を通行止めにした。事実上の”お花見禁止令”の発布である。
東京都の感染者の増加は、感染経路の不明な感染の増加を伴っている。小池知事はその原因に「症状の出ない方、症状が軽い方が無意識のうちにウイルスを拡散させるということが懸念されている」としている。いわゆる”隠れコロナ”の存在である。しかも、それは若年層に多いとされる。それは無自覚であるのだから、自分が感染したかどうかもわからない。自分を疑ってかかれ、と言われても限界がある。若ければ、やはり外に出て遊びたくなる。
これまで、日本国内では積極的にPCR検査を行ってこなかった。特効薬がない以上、検査数を増やすことが諸外国のような医療崩壊につながるおそれもあったからだ。
ただ、”隠れコロナ”が感染を広めていることが現実ならば、これからはもっと大々的に、検査を実施するような政策も必要になってくるはずだ。そうでないと根本的な解決にならない。
韓国では、2015年にMERS(中東呼吸器症候群)が流行した経験による検査体制の充実を背景に、積極的に検査を実施したことから感染者数が急増したが、いまは増加曲線を抑制しているとされる。これを手本にしたイスラエルでも死者は5人で、致死率はわずか0.2%に抑え込んでいる(25日時点)。
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