父の言い分に納得できないながらも、ゆきさんは猛烈な勢いで勉強に取り組みました。中学時代は入退院を繰り返してほとんど勉強できなかったため、高校では1番下のコースに入ったのですが、そこからひたすら勉強を重ねて上位のコースに編入。2年生からは理数系のコースに入り、そこでもトップの成績を収めました。
「学校の自習室に最終時間までこもって、睡眠時間も削って。ペンだこがひどくなりすぎてペンが持てなくなったり、腱鞘炎になったりもして。朝は単語帳を読み込んで、休み時間も全部勉強。小テストで100点以外がつくのが嫌だったので。
そこまで頑張れたのは、それだけの夢があったから。私も(父に)認められたい気持ちがあったし。でも成績を見せても、父は『へー、よかったやん。でもここ足りてないよな』、みたいな反応。1位、1位、1位、3位の、3位に目をつけるんです」
学校では友達をつくる余裕もありませんでした。周囲からは「下のコースから来た子」という目で見られて嫌味を言われ、悔しくてたまりません。なおさら勉強に打ち込むのですが、成績が上がれば周囲の妬みは増し、「何なの、あの子」という目で見られます。
猛勉強する傍ら、私立に行くお金を貯めようと、アルバイトも頑張っていました。ゆきさんは、だんだんと、そんな毎日に疲れていきます。
入学金を貯金するためにパパ活をしたことも
気力が尽きた1つのきっかけは、高2の夏休み中に行われた三者面談でした。あれだけ「国公立しかダメ」と言ってきた父親が、担任の前では「私立も考えています」と軽く口にしたのです。ゆきさんは、やり切れない気持ちになりました。
「薬学部がある国公立大は家から遠くて下宿代もかかるし、私立に行ってもお金がかかる。入学金くらいは自分で貯めようと思って、アルバイトもしていたんですけれど、せいぜい月3、4万円とか。そのなかから貯金しても、微々たるものじゃないですか。
私にとったら人生を左右する問題なので、もう仕方がないと思って、夏の間に援交に手を出して、パパ活とかしたんです。でも、そういうの、もともと好きなわけじゃないし、ふつうに“キモい”し。虚しくなるんですよね。終わって『はぁ、あんな嫌な思いしたのに、1万円札3枚』、みたいな。お金の交渉をしたりして、自分の価値がモノみたいに値段ではかられることに、少しずつ傷ついていって」
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