ANA、航空機1兆7000億円発注の真意 ボーイングとエアバス、両社から購入する意味を探る

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伊東社長(右)は会見で「いい結果が取れた」と語った

今回の発注計画をまとめると、購入金額はカタログ価格で総額1兆7270億円に上る。ANAが同程度の期間に発注する機材計画としては機数、金額ともに過去最大となる。

15年スパンの長期で、かつ金額的にも兆円単位のかなり大きな計画。ANAがこのタイミングでまとめたのは、「長期的な戦略を立てるうえで機材を選定するタイミングと、航空機メーカーが新たな機材を開発していたこと、現在使っている機材が順次退役に入るタイミングが重なった」(伊東社長)からだ。

2社を天秤にかけたANA

今回の機材計画において見逃してはならないポイントは、ANAが主に長距離国際線向けに飛ばしている大型旅客機、B777-300ERの後継機として、B777-9Xを選定したことだ。

B777-9Xはボーイングが開発を進めている次世代機で、2020年にローンチ(航空会社への初納入)が予定されている。ANAはB777-9Xの発注を検討する段階で、エアバスの最新鋭大型機「A350」についても、「当然ながら比較検討した」(伊東社長)。つまり、ANAは2社を天秤にかけたのだ。

このこと自体は珍しいことではない。長距離国際線を飛べるような大型旅客機を造れるのは、世界でもボーイングとエアバスだけ。どんな航空会社の機材選定においても、つねに2社は競合する。

ただし、今回のANAの機材計画は、ある意味で特別な側面があった。関係したのが、ANAにとって最大のライバル、日本航空(JAL)の機材計画だ。

JALは昨年10月、「B777」の後継機種として、エアバスからA350を大量導入すると発表した。2019年から導入を始め、年数を経たB777型機を順次、A350に切り替えていく。これまでJALは中・大型機ともボーイングからのみ調達してきたが、初めてエアバス機の導入に踏み切る。

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