ANA、航空機1兆7000億円発注の真意 ボーイングとエアバス、両社から購入する意味を探る
「(米ボーイング、欧エアバス)どちらのメーカーも熱心に売り込みをしてきた。われわれもよりよい条件を取るべく交渉してきたが、そういう意味ではいい結果を取れた」
ANAホールディングスの伊東信一郎社長は、慎重に言葉を選びながら、記者の質問にそう答えた。ここ半年足らずの間に水面下で繰り広げられたであろう交渉の激しさと、ANAが得た“果実”の大きさを物語るコメントだった。
3月27日、ANAは東京・汐留の本社で緊急会見を開き、2016年度から2027年度にわたって順次導入する新しい旅客機(機材)の発注計画を発表した。ボーイングとエアバスの2社に、合わせて5機種、計70機を発注する。
内訳は、標準座席数が400席級の大型機「B(ボーイング)777-9X」の新規発注を20機、同「B777-300ER」の追加発注を6機、200~300席程度の中型機では「B787-9」を14機追加、200席未満級の小型機は「A(エアバス)320neo」を7機、「A321neo」を23機、それぞれ新規発注する。
国際線の強化に充てる
「この先15年の中長期的な経営戦略を見通す中で、国際線の中長期的な成長のためにさらなる経営基盤の強化を図る」
伊東社長は、2020年の東京五輪開催を控え、政府が訪日外国人の目標を2000万人(2013年は約1000万人)と定めていることに言及。国際線を軸に日本の航空需要がさらに伸びると見込んだうえで、新しい機材は原則として国際線の強化に充てていく方針を示した。2020年時点で、ANAの機材数は現在から30機増(約13%増)の250機程度まで拡大する見通しだ。