BMW「初代Z4」今でも忘れられない痛快な魅力 同じ車を色違いで乗り換えた男の回顧録

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初期のZ4が積むのは3ℓと2.5ℓのストレート6。僕は後者を選んだ。パワーは当然3ℓに劣るが、必要にして十分。そして、回転感はよりよい。とくに、高回転域の回転感の良さに強く惹かれたからだ。

2.5ℓの方が重量は30kgほど軽く、フロント荷重も軽いので、身のこなしがさらによかったのも理由の1つ。

ボディカラーはブラックを選んだ。エッジの効いたボディワークがもっとも映えて見えたからだ。ソフトトップはグレー、シートは明るいベージュ系の革、内装は黒、トリムはブラッシュドアルミをオーダーした。

タイヤはBSのスポーツ系ランフラット。当時のランフラットはまだあれこれ課題を残していた。中でも、乗り心地/騒音は厳しかった。しかし、「走り、曲がり、止まる」という点でみれば、BMWの選択は頷けた。

16、17、18インチの3サイズが用意されたが、僕は思い切って快適性を切り捨て、「走りとカッコにこだわって」18インチをチョイスした。

不整路面での乗り心地とロードノイズの酷さには、めげそうになることもあった。でも、ワインディングロードをアップテンポで走るときの鋭い身のこなし、グリップレベルの高さが、ほかのタイヤの選択を踏みとどまらせた。

2年半ほどで色違いを購入

僕が、Z4に強く惹かれたいちばんの理由は、「ライトウェイト・スポーツとしての走り」だが、ルックスやコクピットの佇まいにもまた強くひかれるものがあった。

Tシャツとベースボールキャップといったラフな出で立ちも似合うが、軽快なジャケットにボタンダウンシャツ+無地のナロータイ、といった出で立ちもZ4には似合った。

そう、クラシックなプロポーションと、エッジの効いたモダンなボディワークのコンビネーションを、僕は、ファッションツールとしても「いいな!」と思っていた。

すでに触れたようなカラー・コンビネーションを選んだのも、ファッションツールとしてのこだわりの結果だ。

そんなこだわりがさらに昂じた結果、別のカラーコンビネーションのZ4に乗り換えたくなった。

で、オーダーしたのは、艶やかな濃紺(モナコブルー)のボディ、チョコレートに近いベージュのソフトトップ、黒の革シート、黒の内装、ブラッシュド・アルミのトリムというコンビネーション。

あくまでも僕個人の思いだが、ファッションツールとして、かなりレベルの高いZ4ができあがったと思っていた。

当然、タイヤは18インチをオーダーした。

2年半ほどで、同じクルマを色違いで買い換えるなんて、「お前、少しおかしいよ!」と友人に言われたりもした。が、僕はワクワクした気分だった。

次ページZ4の後継車に「NO!」
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