BMW「初代Z4」今でも忘れられない痛快な魅力 同じ車を色違いで乗り換えた男の回顧録
大好きだった2台のBMW Z4
初代Z4に惚れ込んだ話しは以前書いた。
が、ここでもう1度、振り返らせていただく。
時は2002年初冬。ポルトガル南端の町ファーロで行われた国際試乗会で、僕はZ4の虜になった。
北大西洋に面した断崖に添うワインディングロードとZ4のコンビネーションは、僕を「陶酔の世界」に引き込んだ。
狭めの2車線道路は、自然が描き出した断崖の原型をほとんどそのままトレースしたかのように、曲がり、うねり、アップダウンし、延々と続いた。
ライトウェイト・スポーツカーには、これ以上ない試乗コースだった。
町もなく、ドライブインもなく、ガソリンスタンドもなかった……と思う。
見えるのは「さあ、やれよ!」と誘っているかのようなタフな道と、広大な大西洋だけ。
ドライビングに集中する条件も揃っていた。
クリス・バングルが生み出したZ4のルックスもひと目見て好きになった。ドライバーが後輪直前に座る古典的ロードスターのシルエットを、モダンな鋭いディテールで包み込んだZ4は最高にカッコいいと思った。
ドライビングポジションも、やや小径なステアリングホイールも、必要以上にシフト操作を繰り返したくなるギアボックスのフィールも、すべてが「やれよ!」「いけよ!」と背中を押してきた。
18年の月日が経った今でも、あの日の快感はハッキリ思い出せる。
試乗会が終わっても興奮冷めやらず、BMWジャパンのスタッフに、すぐ予約を入れた。