地下鉄サリン25年、オウム後継団体が蓄財の謎 主流派アレフの資産は13億円、賠償は停滞…

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事件から四半世紀が過ぎた現在、「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律」(団体規制法)による、公安調査庁の観察処分の対象となっているオウム真理教の後継団体は3つある。

まずは、いまでも麻原への帰依を正当化している主流派の「Aleph」(以下、アレフ)だ。ここに刑期を終えて出所した教団の外報部長だった上祐史浩が合流したのだが、やはり出所してきた麻原の妻の帰還を区切りに、分派となって教団から出て行く。これが上祐派と呼ばれる「ひかりの輪」で、麻原との関係は絶ったとしている。

その後、主流派アレフで内紛が起きる。麻原には、上から4人の娘と2人の息子がいるが、このうち次男の教団への復帰を巡って意見が対立。事実上の後継者争いとみられるが、これに反発した一部の信者たちがアレフと距離を置くようになった。これがリーダー的信者の名前をとって「山田らの集団」と呼ばれるものだ。

公安調査庁によると、現在の信者数は約1650人。ロシアにも信者がいて、数年前には約460人と報告されている。

だが、それ以上に驚かされるのは、教団の保有する資産だ。

昨年10月末の時点で、教団の持つ現金、預貯金、貸付金などの資産は、12億9100万円と報告され、そのほとんどがアレフのものにあたる。

教団の資産は年々増えるが賠償金を支払っていない

実は、教団の資産は毎年のように約1億円ずつ増えている。主な収入は、信者による”お布施”だ。もともと出家制度を敷いていた教団では、いまでも出家信者たちがいて、教団施設から一般人と同じように、毎日働きに出ている。その給与をそのまま教団にお布施してしまうのだ。

その代わりオウム時代から変わらず、出家信者には、「業財」という生活に必要なものを買う小遣いが教団から与えられる。その額は月に8000円という。

また、事件当時は20代、30代だった出家信者も高齢化が進む。それと同じようにその両親も歳をとるから、遺産が舞い込んでくる機会も増えた。それをそっくり教団にお布施してしまう。さらにイベントなどの参加費用が加われば、年間1億円の収入も頷ける。

ところが、それだけの資産を集めながら、地下鉄サリン事件の被害者などへの賠償金を支払っていないのだ。それでも、以前はわずかながらも被害者弁償を続けていたのだが、教祖の死刑が執行された2018年からは、まったく支払わなくなった。一方で上祐派は昨年、支払いをしているが、それも280万円にすぎない。資産に比べるとわずかなものだ。

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