AI活用で成功する職場、失敗する職場の「差」 AI活用で企業・個人の競争優位を築けるか

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筆者は、2017年からプログラミング言語Pythonや機械学習の実装をWEB ブラウザで簡単に始められる「Aidemy」というサービスをローンチし、2020年現在までに5万人以上にご利用いただいてきました。

2019年以降、筆者の運営するサービス「Aidemy」が製造業や金融業、IT 企業を中心とした大手企業への導入が進むなかで、「エンジニア向けの実装の教材だけでなく、ビジネスリテラシーやプランナーに向けた教材が欲しい」とご要望をいただくことが多くなりました。

さまざまな経営者とお話していても「機械学習エンジニアは足りていないが、それ以上に機械学習プランナーが足りない」と指摘されるケースも多くなりました。

機械学習プランナーの需要は今後ますます高まる

機械学習プランナーとは、どんな課題を解くのか整理し、機械学習プロジェクトの求める成果を明確にする職種です。この職種に、文系・理系、プログラミングのできる・できないは、関係ありません。拙著でも解説していますが、「AIのビジネス活用における考え方」を身に付けている人材です。

『投資対効果を最大化する AI導入7つのルール』(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

「試作品はつくれど、実運用は進まない」ケースの特徴として、機械学習プランナーの不足が挙げられます。「手元にあるデータでとりあえず企画を進めてみよう……」「他社の事例を模倣してみよう……」こういったキーワードをもとに企画が進むケースがありますが、これではうまくいきません。

機械学習プロジェクトを成功させるためには、自社の課題を整理し、機械学習の技術の特徴を把握したうえで、機械学習で解くべき課題を特定しなければなりません。そして、データがあればそのデータを使って解析し、データがなければ投資対効果を踏まえたうえで必要に応じてデータの取得に投資するべきです。

このような考え方、プランニングができるスキルが機械学習プランナーには求められます。今後、AIが社会にとって当たり前の技術になるにつれて、機械学習プランナーの需要が高まるでしょう。

2020年現在、「機械学習を学ぶことはコスパがいい」と考えています。英語力などのスキルと比べても、機械学習のプロフェッショナルはまだ少なく、学ぶハードルは相当下がりました。機械学習の技術の素養を身に付けることで、仕事の幅が大きく広げられるのではないでしょうか。

石川 聡彦 アイデミー代表取締役社長

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いしかわ あきひこ / Akihiko Ishikawa

東京大学工学部卒。同大学院中退。研究・実務でデータ解析に従事した経験を生かし、法人向けAIシステムの内製支援クラウドソリューション「Aidemy Business」を開発・運営している。著書に『人工知能プログラミングのための数学がわかる本』(KADOKAWA/2018年)など。「Forbes 30 UNDER 30 JAPAN 2019」選出。

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