AI活用で成功する職場、失敗する職場の「差」 AI活用で企業・個人の競争優位を築けるか

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これまで企業が競争優位に立つには、資金調達力や人材力、技術力、特許の数、企業間のリレーションシップの強化など、さまざまな要因があると言われてきました。機械学習モデルを構築するためのデータの蓄積が競争優位をもたらすということは、企業間の競争優位を考える1つの要因が追加されたことを意味します。

もし他社が自社と同じ機械学習モデルをつくろうとした場合、当然ながら、同じだけのデータを蓄積するための期間が必要です。すると、先行する自社はその期間は競争優位に立てることになります。

さらに、その競争優位を持続している期間に新たなデータが取得できることで、一層付加価値の高い製品が提供できるのです。このように、機械学習モデルの性能向上の正のスパイラルが回り始めることで、ネットワーク効果が生まれ、さらに企業の競争力をつける源となるのです。

大企業の強みは「データ蓄積のインフラがあること」

繰り返しになりますが、いま手元にあるデータがそのまま「使えるデータ」であることはまれで、「使えるデータ」を定義し、投資して蓄積できるような考え方が最も重要です。大企業にとっては、すでにデータがあることではなく、投資すればデータを蓄積できるインフラがあることが本当の強みなのです。

例えば、全国展開する物流会社を例にとって考えてみましょう。4万台のトラックを持ち、全国に展開する物流会社がすべてのトラックにデータ取得に必要なセンサーをつければ、1週間程度で4万台分の全国の必要なデータがそろいます。

一方、トラックを1台のみ保有する運送会社であれば、4万週間(約767年)かけないと、これだけのデータ量は蓄積できないのです。このように、中小企業だと全国のデータを取得するのに莫大な時間と労力がかかり、大手と同水準の機械学習モデルを構築するのは非常に難しくなるのです。

経営目線では、特許数の多さや研究開発費の額を重視して会社の技術力指標および競争優位を構築するのと同様に、コストをかけてでもデータを取りにいく対応を重視する視点が注目されるでしょう。それこそが真の「コスパ」をもたらすのです。

機械学習モデルを他社より先んじてリリースし、さらにユーザーのデータも蓄積できる体制を構築することで、つねに他社よりも1歩先にその機械学習を生かし、新しい付加価値を提供できます。それがAI時代の競争優位になるのです。

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