写真に騙されるな!アドビが打ち出した「対策」 写真も動画も「加工」されたものかもしれない
Adobeは2019年11月4~6日にロサンゼルスで開催したクリエイティブの祭典「Adobe MAX 2019」で、コンテンツの透明性に関して、Twitter、The New York Timesとの提携を発表した。
Adobeは、事実ではない情報に信憑性を持たせることができるいわゆる「ディープフェイク」の対策に、積極的に取り組む姿勢を見せた。
「Content Authenticity Initiative」と呼ばれる今回の発表は、コンテンツ制作アプリ企業、SNSプラットフォーマー、メディアが手を組み、そのコンテンツがどのように作られたのかを明示できるようにする業界標準を確立する。
Adobeのゼネラルカウンシル、ダナ・ラオ氏はインタビューで、「消費者が誰のコンテンツを信じるか? どのように制作・編集されたコンテンツを真実だと評価するか?という判断材料を提供する取り組み」であると説明した。
確かに取り組みに声を上げたことは評価すべきであるが、やらないという選択肢はAdobeにはなかった。
2020年の大統領選挙を前に、アメリカでは称賛の声が上がっている。しかしAdobeが対策に取り組まなければ、Adobeそのものが「ディープフェイク製造技術企業」のレッテルを貼られかねない、大きなリスクを持っていると考えてきた。そして、現状大きな欠陥があることもわかってきた。
写真とはなんだろう?
皆さんにとって、「写真」と聞いて、どんなイメージを持っているだろうか?
漢字としての写真は、「真を写す」と書く。写真は、その瞬間目の前で起きたことが写されている、と考えるのは普通の感覚かもしれない。しかし、はたしてそうだろうか? よくできた「作られた画像」を見せられたとき、それが真実だと見抜くことはできるだろうか?
ここで1枚の写真を見てほしい。この写真は、人工芝のグラウンドを真上から撮影した写真だ。そう聞いて、疑問を持った人はいただろうか? 自分で写しておきながら、筆者だって、「初めから人工芝にラインが引かれた写真だ」としか思わない。
しかしこの写真は、2019年のAdobe MAXで正式リリースとなったiPad版Photoshopで編集した写真だ。編集画面を見ると、元の写真には、iPhoneが置かれていたことがわかる。Apple PencilでiPhoneの部分を雑になぞっただけで、iPhoneが存在しない人工芝の写真が作り出された。
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