AI活用で大きくコケる会社のダメすぎる実情

最大限使いこなすためにはコツが要る

AI活用が進んできましたが、AIプロジェクトで実現したいゴールと現状のギャップが埋まらない、というケースもあるようです(写真:alvarez/iStock)
ここ数年、AI活用、とくに機械学習の活用によって、新しいビジネス上の課題・難題の解決を図る動きが活発に行われている。
ところが、AI関連の多くのプロジェクトに携わる石川聡彦氏は、AIに関わるプランナーやエンジニアが立ちはだかるビジネス上の課題・難題を本当に解決しているかというと、「実態はかなり“寒い”状況と言わざるをえない」という。
いったいどのような状況なのか。また、解決のために乗り越えなければならないことは何か。『投資対効果を最大化する AI導入7つのルール』の著書もある石川氏に聞いた。

2012年のディープラーニングの発見が契機となり、日本にもAIブームが到来、機械学習の活用によって問題解決の幅は広がりました。とくに画像認識(コンピューター・ビジョン)は性能がかなり向上し、機械学習の応用が急速に進んでいます。

AIへの期待感が高まった一方で、AIによって実現したいゴールと現状のギャップが埋まらない、試作品をつくったとしても実際の運用は進まない、というケースも散見されるようになりました。

AI活用が進まない現状に幻滅し、AIに対する正しい理解を持たぬまま「AIは使い物にならない」「幻滅期に突入した」などと論じる人も少なくありません。

ほとんどのAIプロジェクトはPoCで失敗している

いったい何が、人々を幻滅させているのか。筆者は、PoC(ポック)段階の問題だと捉えています。

PoCとは、Proof of Concept(概念実証)のことで、試作品をつくり、仮運用してみることです。機械学習モデルにおいて、この実運用がうまくいかず、多くのケースで企画倒れになってしまっているのです。

機械学習モデルがPoCの段階で終わってしまって実運用に至らないことは、「ぽっくり死ぬ」という言葉とかけ、「PoC死(ポックシ)」などと揶揄されています。

では、なぜPoC死しやすいのでしょうか。

まず、機械学習モデルはデータからつくられます。そもそも機械学習とは、データを使ってルールをコンピューターによって自動的に獲得する技術です。このとき獲得したルールを機械学習モデルと呼びます。実際に構築した機械学習モデルの性能を確かめ、実際の運用に耐えうるレベルかどうかを試作品で実証的に検証してみることがPoCをつくる目的です。

ところが、このPoCで使う試作品の機械学習モデルは、期待していた成果を生むとは限りません。PoCはあくまで「多産多死」を前提に制作されるケースが多く、実運用まで百発百中というわけにはいかないのです。

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