茂木健一郎「よく怒る人ほど仕事ができない訳」 怒りとは「脳がまったく集中していない」状態

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それなのに、何か問題が起きたり、自分が思うとおりにものごとが進まなくなったりすると、ついイライラしたりカッカしたりしてしまう……。「よくない」と思いながら、怒ってしまう人は、たくさんいます。かくいう私も若い頃はいつも怒っていました。

脳科学的に言うと、怒りとは逆フロー状態。フローとは、ミハイ・チクセントミハイ博士が提唱した概念で、脳が集中している状態。

この状態にあると、時間が経つのも忘れるほど集中して仕事でも勉強でもテキパキと処理して、成果を上げることができます。

怒りは、この逆ですから、集中もできず、仕事や勉強がまったく手につかない状態にあります。つまらないミスや、ふだんはしないボーンヘッドをしたりするので、事態をさらに悪化させかねません。健康によくないだけでなく、仕事や勉強においてもいい結果をもたらすことはないのですから、やはり「怒らないほうがいい」に決まっています。

怒りが「脳を操作不能」にする

もっと恐ろしいことを言うと、怒ると、脳のコントロールが利かなくなります。それは、「脳が怒りにハッキングされたような状態」と言えるかもしれません。

前述した駅やスーパー・コンビニのケースだけでなく、21世紀の日本は、怒りが渦巻いています。上司が、パワハラやモラハラをしてきた。高速道路を運転していたときに、あおり運転をする車に絡まれてしまった。ネットで匿名による誹謗中傷をされた……。

こちらに落ち度が1つもないとしても、相手が理由もわからずに怒り出すことはありえないことではありません。怒りの耐性がなくなった現代日本人は、すぐイライラしたりカーッとなったりしてしまいます。

相手が怒っているとき、こちらがつられてキレてしまって、暴言を吐いたり手を出したりして、相手を傷つけてしまったら、取り返しがつきません。相手に原因があるとしても、最終的に迷惑をかけたのは、こちら。相手に目に見える被害を与えたとなると、100%こちらが悪いと認定されてしまって、信用を失ったり、一生を棒に振ったりするようなこともあるかもしれません。

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