仕事でテンパる部下の生産性を上げる3つの策 「任せ上手」になることで作業の質も向上する

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「任せ下手」が「任せ上手」に変わる

納期3分割法の具体的な使い方ですが、部下に仕事を任せる段階で、納期を3回設定します。そして3回の納期ごとのゴールを以下のように共有します。

・1回目は設計ラフイメージ
・2回目は粗めの完成イメージ
・3回目は完成品の提出

ここで重要なのは、必ず「仕事に使う時間」を確認することです。

1回目納期の設計ラフイメージを、上司であるあなたなら1時間ほどでできると見積もるなら、部下にも1時間でやってみてもらうといいでしょう。

タイマーを使って1時間取り組んでもらい、そこまででできたものを見せてもらうようにします。この方法を「タイマー管理法」と呼んでいます。
タイマーは、パソコンの無料アプリやスマホの時計で設定するのでかまいません。

「設計」という業務は、実際に作業するものではないので、キャリアを積めば積むほど短時間でできるようになるのですが、経験の少ない部下は、あれやこれやと悩んでムダに時間を使いがちです。せっかく時間を使って設計しても、1時間かけようが10時間かけようが、あまりアウトプットが変わらないということが起こります。

部下が勝手に悩んで時間を浪費する前に、上司であるあなたのチェックとアドバイスを入れて、業務を前に進める方がはるかに効率的です。タイマーで時間を区切って、集中して取り組んだ「部下なりの1時間の全力」で提出してもらうやり方が有効なのです。

クオリティーが低い時は納期をもう1回増やす

では、そのとき部下の仕事のクオリティーがあまりに低かった場合は、どうしたらいいでしょうか? それは、「納期をもう1回増やす」ことです。納期を増やすことで、部下の仕事を上司の期待水準まで引き上げることができます。

仕事を任せるのが苦手な人は、この納期分割をしないので、部下の仕事のクオリティーが低いと「こんなのではダメだ!」と自分でやってしまう人が非常に多いです。しかし、そこで仕事を取り上げてしまう必要はありません。納期を増やしてしまえばいいのです。ただそれだけのことで、「任せられない上司」から「任せ上手」な上司に変わります。

クオリティーが低ければ、納期を後ろ倒しに伸ばすのではなく、回数を増やす。この繰り返しで部下はスムーズに成長し、仕事を任せられるようになります。

次ページ「上司の役割は、部下の弱みを補ってあげること」
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