貧困の救いかた スティーヴン・M・ボードイン著/伊藤茂訳

貧困の救いかた スティーヴン・M・ボードイン著/伊藤茂訳

資本主義の対抗モデルとしての「社会主義」の消滅、米国発の世界的経済危機による新自由主義の退潮で、30年ほど前に全盛だった福祉国家モデルが見直されている。米国の医療保険改革を含めた各国でのセーフティネットの拡充も、その動きを後押ししそうだ。

貧困について言えば、その原因を個人の力では制御しえない経済や社会の働きに求め、それを社会全体の問題として克服していく方向だが、実は貧困の歴史は「個人の価値を物質的な所有と結び付ける」ところから始まると、本書は説く。

貧困の原因を個人のみに帰すべきか社会のみに帰すべきか、といった両極端に振れるのではなく、その克服に家族とコミュニティの役割が大きな意味を持つことを、グローバリゼーションの拡大のプロセスを経て、現代に至る世界各地の動向の中で本書は示す。

貧困は、所得という尺度が明らかにするより、はるかに文化的、社会的に複雑なものと教える。

青土社 2520円

  

ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • Amazon週間ビジネス・経済書ランキング
  • ミセス・パンプキンの人生相談室
  • 「非会社員」の知られざる稼ぎ方
  • カラダとおカネのよもやま話
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
電池開発でノーベル化学賞<br>吉野彰氏が示した「危機感」

受賞会見とともに、リチウムイオン電池の開発の歴史と当事者の労苦を振り返る。世界の先頭を走ってきた日本も、今後および次世代型の市場では優位性が脅かされつつある。吉野氏率いる全固体電池開発プロジェクトに巻き返しの期待がかかる。