アーリーマジョリティとレイトマジョリティへの対策
一口でマジョリティと言っても、アーリーマジョリティとレイトマジョリティでは、基本的な傾向と対策が変わります。この2つを比較すると、アーリーマジョリティのほうがまだ少しトレンドに敏感ですから、アーリーマジョリティ向けには少しトレンド感を残して、価格を適切にすることが重要です。一方、レイトマジョリティのほうは、トレンドにはそこまで反応しませんので、デザインはよりベーシックでわかりやすくする必要があります。かつ、価格にとてもシビアですから、そのあたりを十分に考慮する必要があります。
さて、ここまではモノの視点で、マジョリティに向けたマーケットの浸透に伴うトレンドの変化をみてきました。では、メディアのトレンドの伝え方はどうでしょうか。
雑誌を例に考えてみますと、こちらも媒体のポジショニングによってさまざまです。ポジショニングがより左(クリエイティブ)に位置するモード誌などは、ファッション言語能力の高い読者をターゲットにしますから、コレクション素材をそのまま使い、上級者向けの切り口で展開します。反対に、そこまでファッションに強くない媒体では、ファッションの全体像を伝えるのではなく、シーズンテーマ(例えば、ロマンティック、マスキュリン、スポーティーなどのキーワード)の一部分やカラーなど、トレンドのエッセンスをテイストにあわせて切り取って咀嚼し、ビジュアルで読者にわかりやすく説明します。ですから、ページの中に凝ったデザインの服は減り、自然とベーシックなものが増えていきます。
加えて、トレンドはそこにあるキャズム(溝)を越えられずに、一部の人の間だけで流行り、その後、自然消滅していくというパターンもみられます。
さて、今回は、ファッショントレンドがどのようにマーケットの中で浸透していくのか、またそこになぜキャズムがあり、その原因が何なのかについてお話しました。次回は、このキャズムに眠っていた潜在的ニーズを掘り当てて成功した、ファストファッションとの関連性についてお話します。
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