コロナ直撃が深刻な「エンタメ」に希望はあるか 自粛のイベント「無観客、延期、中止」の分岐点

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それぞれ事情や姿勢の違いはありますが、無観客と延期の決断を分けているのは入場料収入の重要度。開催回数や観客数が多く経営の柱となっているエンターテインメントほど、「無観客でイベントを消化したくない」と考えるのはビジネスの観点では当然でしょう。その点、「延期か、無観客か」とさまざまな噂が飛び交っている東京オリンピック・パラリンピックの無観客開催は考えづらいところがあります。

エンターテイナーからのメッセージ

開催回数や観客数がプロ野球やJリーグよりも少ないエンターテインメントにとっても、もちろん入場料は重要な収入源。それだけに無観客開催は不本意ではあるものの、「楽しみにしてくれていた人々へのファンサービス」「選手や出演者のモチベーションキープ」などのために踏み切っているそうです。

エンターテインメントの世界で有名な「show must go on」(ショーはどんなことがあっても続けていかなければならない)」というフレーズを一度は聞いたことがないでしょうか。これはロックバンド・Queenの楽曲や、ジャニーズ事務所を立ち上げたジャニー喜多川さんのモットーとして知られているフレーズであり、無観客開催は「新型コロナウイルスの感染が拡大しても、俺たちはやめないし、あなたたちを楽しませ続ける」というエンターテイナーたちからのメッセージでもあります。

幸いにして現在はネットの発達でライブ配信が可能になり、規模の大小を問わず無観客開催の意義が深くなりました。その意味では、もし現在の状況が好転せず、今後も大規模イベントの自粛が続いたら、プロ野球やJリーグは今年度の入場料収入を減らしてでも、無観客開催に踏み切るのではないでしょうか。

ジャンルを問わずすべてのエンターテインメントは、目の前の利益を減らしてでも、選手や出演者とファンの距離を離してはいけないのです。それだけに「学生」「教育」が絡むもの以外の中止はできるだけ避けるのが望ましいが、長引いたときは延期にも限界がある。「配信での収入増などのダメージコントロールをしつつ、できる限り無観客開催を続けながら収束するのを待つ」という形に収斂されていくでしょう。

入場料収入に頼らないビジネスモデルのエンターテインメントは、在宅率が上がる現在の状況では一概にピンチとは言い切れません。事実、テレビ番組の視聴率は少しずつ上がっていますし、人気も数字も右肩上がりの「テセウスの船」「恋はつづくよどこまでも」(TBS系)のようなドラマもありますが、それでも制作現場はピリピリとしたムードに包まれています。

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