「空前のレモンブーム」日本中が沸く2つの理由 なぜ「添え物フルーツ」が主役になれたのか?

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レモン果実の賞味期間は約2年と長い。使い方は多岐にわたり、スライスしたものを凍らせてそのまま飲料に投入すれば氷代わりにもなり、味が薄まらないメリットも持つ。冷凍すればすり下ろすことも容易だから、スイーツ作りにも向いている。実は主演クラスの可能性を秘めていたレモン……、もう添え物なんて呼ばせない。

汎用性が高く、レモンへの需要も高まれば、各社オリジナリティーのあるレモン商品を打ち出すことは必然の流れ。日本のレモン市場は輸入レモンに依存しているため、安全基準を満たしているにもかかわらず農薬問題を気にする人も中にはいる。消費者の安全・安心志向の高まりから国産レモンへの関心も集まり、「特産果樹生産動態等調査」を見ると、国内レモンの栽培面積が広がっていることもわかる。レモンのバラエティーが、ますます増える時代になることが予想される。

前出のサントリー食品インターナショナルの五十嵐部長が話す。

「当社の『サントリー天然水Clearレモン』をはじめとした製品は、フレーバーではなく果汁を使用しています。各社が、いかにレモンの個性を生かし、他社と違いを生み出すか競い合っていますが、裏を返せば、それだけレモンが主役として世の中に認知され始めたのだと思います」

もはや添え物ではなく“主役”

かつては、“健康によさそうだから”という理由から無難な選択だと思われがちだったレモン。しかし、選択肢が増えたことで、「飲料水を含め、自己主張できる存在に変化してきているのではないか」、そう続ける。

「今後は、果実感を感じられるか否かがポイントになってくるのではないでしょうか。レモンフレーバーのチューハイ系よりも、昨今は本当に絞ったようなレモン感を感じられる商品ほど好評を博しています。果実感があるかないか、レモン市場が活況を呈する中で、消費者の方の大きな選択肢になるのではないかと思っています」

添え物から主役へ躍り出たレモン。市民権を得た今、次はどんな話題を提供するのか楽しみだ。

我妻 弘崇 フリーライター

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あづま ひろたか / Hirotaka Aduma

1980年北海道帯広市生まれ。東京都目黒区で育つ。日本大学文理学部国文学科在学中に、東京NSC5期生として芸人活動を開始する。2年間の芸人活動ののち大学を中退し、いくつかの編集プロダクションを経てフリーライターとなる。現在は、雑誌・WEB媒体等で幅広い執筆活動を展開している。著書に『お金のミライは僕たちが決める』『週末バックパッカー ビジネス力を鍛える弾丸海外旅行のすすめ』(ともに星海社)など。

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