中国の「無人書店」使ってわかった致命的弱点 危うく「万引き犯」扱いされる可能性もあった
ディストピア小説『一九八四年』に関する解説本と、村上春樹に関する解説本を選び、購入することにした。だが、書籍2冊を手に持って出口ゲートを通過しようとしたところ、感知しないままゲートが開いてしまった。このままでは万引きである。
店員に「支払いができないのですが……」と聞くと、本を壁に近づけて数秒かざし、無事支払いが完了した。アリペイから代金40元(約640円)が差し引かれていたものの、結局、普通の書店と変わらなくなってしまった。
現時点では無意識に支払いを忘れてしまう恐れもありそうだが、技術が完成すれば、完全に無人化ができそうだ。いまは使い方がわからない人が多いうえに、機械の認識精度が低いため、ヘルプ要員としてスタッフが必要なのだろう。
見かけ倒しなアリババ社の「無人書店」
アリババ社と提携する杭州市内の無人書店「博庫(ボークー)書店」も、見た目は普通の書店とまったく変わらない。店内に入ると、入り口に上海の「志達書店」と同じようなカメラ付き自動改札風ゲートが設置されていたが、その横に「通路」と書かれた木製の入り口もある。どういうことか。
少し様子を見ていると、すべての客がゲートなしの「通路」を通って入店していた。顔認証は、まったく活用されていないのだ。
ともあれ店内に入ると、アリババのキャラクターをデザインした猫耳のボード前に、大型スクリーンが置かれているのを発見した。
店員によると、スクリーンの前に書籍を置くと重量でどの本か識別し、本の内容や関連書籍を紹介するという。
本の重量など、同一のものがいくつもありそうだが「問題ない。微妙に重さが異なるので、正確に識別できるのだ」と断言していた。
だが、実際に試すことができるのはサンプル2冊だけだといい、現物があるのは『最多跑一次改革(ズイドゥオパオ一イーツーガイゴオ)』というタイトルの1冊のみ。
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