中国の「無人書店」使ってわかった致命的弱点

危うく「万引き犯」扱いされる可能性もあった

中国・上海市にある「無人書店」は、どれほどデジタル化が進んでいるのか店舗に潜入してみた(筆者撮影)
中国・上海市の「無人書店」を訪れたライターの西谷格氏。一見、「水と油」のように思える本屋とデジタルが、どう融合したのか? 日本人が知らない「中国IT社会」の現状を明かした新書『ルポ デジタルチャイナ体験記』(取材時期:2019年7月)から一部抜粋・再構成してお届けする。

まず、上海市のやや郊外に位置する「志達(ジーダア)書店」は2018年春にリニューアルした際、アリババの技術を導入して無人化した。

店構えはシンプルで現代風だが、重厚な鉄門で覆われており、中の様子がほぼ見えない。本当に無人なのだろうか。

扉を開けて中に入ると、カウンターに2人の女性が座っていて、いきなり有人。だが、その横に入場ゲートが設置されており、店舗の案内があった。

「電子決済アプリ『アリペイ』で入店してください。その際、顔写真を撮影し、顔認証決済システムを起動します。店内を自由に楽しんでいただいた後は、顔認証で出口のゲートを開きます。代金は自動的に決済されます」

アリペイは中国の代表的なキャッシュレス決済アプリで、QRコードを提示したりカメラで読み込んだりすることで、登録先の銀行口座からお金を支払うことができる。

本に貼られた「謎のQRコード」

自動改札風のゲートはガラス板でさえぎられており、その横に小型スクリーンとドーム型監視カメラが設置されていた。

本の最終ページには、QRコードと数字の書かれたIC タグが(筆者撮影)

アリペイを開いてスクリーン上のQRコードを読み取り、続いて顔写真を撮影。だが、顔認証に失敗しているのにゲートが開いてしまい、何度かやり直すことに。スタッフに手伝ってもらいながら3~4回ほど試すと、やっと認証した。結局、有人店舗より手間がかかっているような……。

店内はごく普通の書店だが、日本よりも天井が高く、通路が狭い構造になっていた。顔認証を使った決済方法を気にしながら書棚の本を手にとってみると、最後のページに見慣れないシールが貼ってあるのを見つけた。

QRコードとともに何桁もの数字が羅列されている。1冊ずつICタグが貼られていて、出口ゲートを通過すると自動で感知する仕組みになっているようだ。

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