マイホーム購入は、ハイリスクなギャンブルだ 30代「当たり前の幸せ」のリアル【住宅とお金】編

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賃貸は単なる消費行動

では、賃貸のほうがいいのかというと、必ずしもそうは言えません。

一生、賃貸住宅に住むということは、人生最大のギャンブルはせずに家賃を払い続けるということ。つまり、住宅に関しては、消費するだけになります。

先ほども説明しましたが、マイホームを購入した場合、うまくいけば大きな勝ちが見込めます。親世代の多くは、実際に大きく勝ちました。

一方、賃貸派の場合、家賃を払い続けるだけなので、それだけでは「大きく勝つ」ことはありえません。もちろん、大きなギャンブルをせずに消費に徹するというのも、ある意味では健全な考え方ですが、賃貸派の人は、住宅とは別の手段で投資をしていかないと、資産形成ができません

それを考えずに、漫然と消費だけをしているのでは、やはり老後の家計は非常に厳しいものになってしまうのです。マイホームと賃貸は、まさに一長一短なのです。

マイホームでも賃貸でもない、最良の選択とは?

ここまで、マイホームも賃貸も一長一短で、どちらがいいかはケースバイケースだという話をしてきました。それだけでは、せっかく読んでいただいたのに申し訳ないので、最後にファイナンシャルプランナーとして絶対おすすめの、最良の選択をご紹介しましょう。

この選択は、誰にでもできることではありませんが、条件が整っている方には、ぜひ前向きに検討していただきたいと、強くおすすめします。というのも、この選択肢、条件が整っている方の間でも非常に不評で、検討の俎上にすら上がらない、というケースが多いのです。

その選択肢とは、「親と同居、もしくは2世帯住宅に住む」ことです。

もちろん、実家が遠方にあり、とても同居は無理という場合もあるでしょう。でも、もしもご夫婦どちらかのご両親が通勤圏内にお住まいであれば、それを利用しない手はありません。

奥さん(旦那さん)のご両親と一緒に住むというのは、確かに最初は気詰まりもあるかもしれません。でも、それによって、住宅購入費の数千万円が浮くだけでなく、奥さんが仕事を辞めずにすめば、前回ご説明したとおり1億円以上のメリットがあります。介護の問題も考えれば、家計に2億円近くの余裕が生まれることになります。

一緒に住んでみれば、案外、気詰まりなのは最初だけかもしれません。「お試し」だと思って始めてみて、どうしてもうまくいかなかったら、あらためて考えればいいのです。何と言っても、うまくいったときのメリットは2億円です。トライしてみる価値は十分にあると思うのですが、いかがでしょうか?

小屋 洋一 ファイナンシャルプランナー

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こや よういち / Yoichi Koya

1977年宮崎県生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、総合リース会社に就職。会社員時代に数多くの経営者と触れ合い、起業家を目指すようになる。2004年から不動産ベンチャーにて不動産投資実務についても研究。そのため、金融資産だけでなく不動産運用にも精通する。

2008年、個人のファイナンシャルリテラシーの向上をミッションとした株式会社マネーライフプランニングを設立。現在は個人を中心にライフプラン・コンサルティング業務を行う。公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員、CFP、宅地建物取引主任者。

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