Netflix「フォロワーズ」がSNSで賛否両論のワケ 中谷美紀と池田エライザ主演、蜷川実花監督

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「ドラマに何を求めるのか?」によって往々にして評価は分かれるものです。同作は賛否両論がきっかけとなって「面白いか、面白くないかこの目で確かめたい」という具合に新たな視聴も促しています。地上波から配信、映画と世の中に数多くのコンテンツがあふれ出ているなか、積極視聴を作り出していることに対して見事に成功させている作品です。

メジャー化でクラシカル回帰がトレンド

連続ドラマシリーズ『FOLLOWERS(フォロワーズ)』は2020年公開のNetflix日本オリジナルの目玉作として扱われています。Netflixが発表した2019年に日本で最も見られたNetflix作品で1位を獲得した『全裸監督』に続く大型ドラマシリーズです。世界190カ国に同時配信され、海外からも反応を得ています。

池田エライザと上杉柊平のデートシーンは「Kawaii Monster Cafe」で(写真:Netflix)

イギリスのニュースメディア「HITC」では「FOLLOWERSに出演する池田エライザは誰か?」といった記事もあり、さまざまな角度から関心が寄せられています。

Netflixオリジナルといえば、既存の地上波コンテンツとは差別化した作品を売りにファンを獲得してきた経緯があります。今や全世界で1億6700万人(2019年12月時点)のユーザーを獲得し、市民権を得るとともに作品のメジャー化も求められています。王道のクラシカル路線のコンテンツもそろえることで新たな層も囲い込むには有効な戦略です。

例えば『FOLLOWERS(フォロワーズ)』と今、人気を二分しているNetflixオリジナルドラマに韓国ドラマ『愛の不時着』があります。『星から来たあなた』の脚本家パク・ジウンの新作で韓流らしさあふれるラブコメ路線です。

また『FOLLOWERS(フォロワーズ)』の「TOKYOをサバイブする男女物語」に対抗するかのように、パリを舞台に3人娘の運命の人探しを描くフランスドラマ『ガールフレンズ・オブ・パリ(英題:The Hook Up Plan)』もあります。先鋭的な作品に特化することなく、クラシカル回帰も各国オリジナルのトレンドになりつつあるのです。

つまり、『FOLLOWERS(フォロワーズ)』も色彩美で攻めた日本の連続ドラマシリーズとしての新しさを持ち合わせながら、クラシカルな雰囲気も漂うNetflixオリジナルの世界トレンドの1つにあるわけです。

長谷川 朋子 コラムニスト

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はせがわ ともこ / Tomoko Hasegawa

メディア/テレビ業界ジャーナリスト。国内外のドラマ、バラエティ、ドキュメンタリー番組制作事情をテーマに、テレビビジネスの仕組みについて独自の視点で解説した執筆記事多数。最も得意とする分野は番組コンテンツの海外流通ビジネス。フランス・カンヌで開催される世界最大規模の映像コンテンツ見本市MIP現地取材を約10年にわたって重ね、日本人ジャーナリストとしてはこの分野におけるオーソリティとして活動。業界で権威ある「ATP賞テレビグランプリ」の「総務大臣賞」の審査員や、業界セミナー講師、札幌市による行政支援プロジェクトのファシリテーターなども務める。著書は「Netflix戦略と流儀」(中公新書ラクレ)。

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