一畑電車、「新たな中古車両」を探して東奔西走  都会の鉄道車両たちが“第2の人生"を送る

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石飛さんは「片側をロングシートにするという案もあったのですが、最終的には『せっかくの観光対応車両なので、できるかぎりクロスシートにしたい』ということで、2+1列配置に決まりました」と明かす。

まだ中小私鉄でのバリアフリー対応が進んでいない時代に、利用者と直に接する運転士ならではの、“お客様ファースト”の提案を取り入れた同社の姿勢は、評価に値するだろう。

同社ではさらに、南海電気鉄道から21000系を譲り受け、3000系として導入。合計10編成20両がそろったことで、定期列車から旧型車両が引退し、全車両が冷房車となった。

条件に合う車両を探して東奔西走

その後しばらく、同社車両の陣容に変化はなかったが、2010年代になると20年前と同じ問題が再び持ち上がった。つまり、老朽化しつつある中古車両たちをどうするかという問題である。

「この間、沿線人口の減少や道路の整備などで、一畑電車を取り巻く情勢は一段と厳しくなっていました。沿線自治体などで組織された『一畑電車沿線地域対策協議会』から補助金をもらっているものの、車両以上に線路や施設の老朽化が進んでおり、壊れたところを直すのが精一杯という状態でした」(石飛さん)

将来に鉄道を残せなくなるとの危機感から、2011年度から10年間にわたって集中的な設備投資を行うことになった。

「約60億円という巨額の支援を頂き、車両や線路、施設を近代化することで、サービスレベルを向上させるとともに年間の修繕費を抑えることになったのです」(同)

この計画には、全10編成20両の既存車両をすべて置き換えるという項目も盛り込まれた。費用面の問題から、今回も中古車両を調達することになったが、その選定には難航した

「ランニングコストを下げるため、『ステンレス車体でVVVF制御方式の18m車両』を条件に、中古車両を探しました。とはいえ、中古車両はどこかの鉄道会社で廃車が出ない限り入手できませんし、VVVF制御方式といえば現在の主流ですから、まとまった数が廃車になることはめったにありません。JRをはじめ、首都圏や関西の大手私鉄で、当社と同じ狭軌の鉄道会社をすべて回りましたが、全社から『今のところ廃車計画はない』と言われました」(石飛さん)

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