コロナ直撃で株価半値に、TKPに秘策はあるか テレワーク需要とらえ、貸オフィスで反撃

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だが、感染力の強いコロナウイルスは、1カ所に社員が集まるリスクを浮き彫りにした。もし感染が確認されれば、影響を受ける社員が多いうえ、オフィスビルが一時的に閉鎖となれば業務の拠点を失ってしまう。感染の拡大を受けて、不特定多数の社員が机やいすを共有するフリーアドレスを休止した企業もあるようだ。

TKPはこれを逆手に、オフィスの「集約」から「分散」へ揺り戻しが起きるとにらむ。リージャスはシェアオフィスの一種ではあるものの、共有するのは受付や給湯室など共用部分のみ。執務スペースは基本的に入居企業ごとに壁で仕切られ、一般的なシェアオフィスに比べて感染の懸念は少ない。

貸会議室を「貸オフィス」に転換

「仮に社員の1人が感染しても、拠点を分散させていればほかの社員への影響はない。自宅で仕事をするだけでなく、部署ごとに別々の拠点を構える形でのテレワークも考えられる」(同)

貸会議室を実質的な貸オフィスに転換(記者撮影)

足元では軟調の貸会議室についても、時間貸しから1カ月単位での長期貸しへの転換を図り、実質的な貸オフィスとしての利用を促す。稼働が落ち込んだ分を長期貸しに回すことで、時間貸しの需給調整も同時に図る。付帯サービスの回復が見通せない中、室料収入を伸ばすことで補う構えだ。

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もともと貸会議室にはオフィス家具や通信環境などが整っており、貸オフィスへの転換はそれほど難しくない。転換した場合でも敷金や礼金、仲介手数料は不要。坪単価は3万円からだが、入居企業にとってはオフィスビルの1室を借りるよりも安価だという。ホテルも宴会場を貸オフィスに転用するほか、さらに収益が落ち込めば客室も貸オフィスとして改装することを視野に入れる。

テレワークは社員を自宅に「軟禁」するのではなく、柔軟に働く場所を選べるのが本来の姿だ。TKPの取り組みは、日本にテレワークが定着するか否かの試金石となりそうだ。

一井 純 東洋経済 記者

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いちい じゅん / Jun Ichii

建設、不動産業の取材を経て現在は金融業界担当。銀行、信託、ファンド、金融行政などを取材。

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