アサヒビールが中国2位メーカーと提携強化、中国拡大への試金石
“爆食”取り込みに向け、アサヒビールが中国2位のビールメーカー、青島ビールとの提携強化を打ち出した。両社は1997年に深センに合弁会社を設立して以来、協力関係を構築。すでにアサヒの中国工場で青島ビールの受託生産を行っており、今後は麦芽など原料調達も共同化する。鮮度管理や生産技術の供与も進めるほか、共同開発品投入も予定する。
中国は2003年に米国を抜き世界最大のビール消費国となった。それでも、07年の1人当たりの年間消費量は米国の4割程度しかなく、世帯収入の増大に伴って、さらなる拡大が確実視されている。今年4月、アサヒは青島に出資していたビール世界最大手アンハイザー・ブッシュ・インベブが保有する大半の株式(約20%)を譲受。これで第2位株主となり、踏み込んだ提携が可能になった。
「中国事業はこれまで苦労してきた。長いアプローチを経て、やっと一本の大きな明かりが見えた」(荻田伍(ひとし)社長)と話すように、市場の急拡大を満喫していたわけではない。地場ビール企業を買収し事業拡大を図ったが、大手メーカーに押されて現地3子会社とも赤字。今後、青島の受託生産が広がれば黒字化への道も開ける。
また「スーパードライ」など自社ブランド拡販も図る。同製品は高価格帯で顧客層が限定されており、広域展開する青島の販売網を活用すれば、リーチを広げられるとのもくろみがある。
一方、青島ビールの金志国董事長も「互いにあこがれ続けてきた仲」と満面の笑みで語った。会見では終始饒舌だったが、その言葉の端々からうかがえたのは市場拡大に対する楽観論ではなく、競争熾烈化への強い危機感だった。