水産物も中国依存が高い。中国からの輸入総額3148億円は水産物輸入総額1兆7397億円の18%。輸入品の代表的存在はウナギとイカだろう。中国産ウナギは、生きている活ウナギが182億2520万円で、2位台湾(63億6300万円)の3倍。加工品の調製ウナギは342億4503万円で、2位台湾(4億2195万円)のなんと81倍。断トツである。
イカも高シェアだ。イカ(活・生・蔵・凍モンゴウ含む)は289億9597万円で2位ベトナム(63億5413万円)の4.6倍。イカ(調製)は268億6219万円で2位ペルー(21億4647万円)の12.5倍となっている。マグロ類も輸入額が大きい。生・冷蔵・冷凍含めた輸入額は241億9889万円で、1位台湾(360億3743万円)に次いで2位。
このほか、中国産がシェアトップとなっている品目は、フグ、ハマグリ、ホタテ貝、貝柱、タラの卵などがある。
近年、サンマやイカの日本近海での不漁が深刻化している。スルメイカ漁が記録的な不漁となっている函館では、函館港の11月のイカ輸入額が16億1400万円となり、1979年以降で最高となった。これまでの中国産に加えロシア産が増えているという。水産加工業者にとって輸入イカの存在は生命線だ。
中国産水産物の需要はスーパーで売られているウナギやアサリ、ワカメなど一般家庭向けだけではない。回転ずしや居酒屋、中華料理店など外食業界にとってもなくてはならない存在だ。イカ、ネギトロ、ウナギ、アナゴ、そしてガリや海苔。中国産の食材や加工品を扱っているチェーン店は少なくない。
意外な食材、物品も中国産だった
主だった食材関連の中国からの輸入品目の実情を見てきたが、意外な農林水産物も中国から入ってきている。シェアトップの品目の中から、拾ってみると……。
羊毛98億2221万円、カシミヤ山羊の毛11億6293万円、生糸14億3551万円、ワッフル・パイ・ケーキ65億3667万円、梅(調製品)39億9980円、リンゴジュース67億2137万円、フレンチマッシュルーム(缶詰)11億1288万円、こんにゃく20億2661万円、朝鮮人参56億5263万円、飼料用ビタミン調製品9億9660万円、すだれ19億7181万円、木炭30億3829万円など。
日常生活のあらゆる場面に中国産の食材や製品が組み込まれているのである。今回のコロナショックで野菜など一部食材で輸入の大幅減と価格上昇がみられたが、事態が長期化して中国産物品の輸入が大きく減るようなことになったら、外食業界はもちろん、スーパーをはじめとする小売店舗の食品売り場、惣菜製造業者らは大きな影響を受けることになる。
それは消費者の食卓、食事の現場にも及んでくる。すでに食品企業、外食業界などでは中国に代わる調達ルートを探しているというが、輸入依存率、そして中国依存率があまりにも高い現実が変わらなければ、食の危機はいつ起きても不思議ではない。この先、国際的な資源戦争が懸念される中、日本は食料自給率の引き上げをはじめ、根本的な資源確保対策の構築が必要だ。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら