経済学者が解説「小売店の閉店」続く本当の理由

実のところ敵は「ネット通販」ではなかった

アメリカで小売業の閉店が相次ぐ理由は、eコマースの影響によるものだけではなかった(Abbey Lossing/The New York Times)

実店舗を構える小売業にとって、この10年は厳しい時代だった。今後も状況は悪化していきそうだ。

アメリカでは、消費が力強かったにもかかわらず、2019年には9000以上の小売店舗が閉店した。この数は2018年を上回るもので、2018年の閉店数は2017年の記録を上回っていた。今年はすでに1200店を超える閉店計画が発表されており、この中には百貨店のメイシーズが発表した125店舗の閉店も含まれている。

アマゾンよりも大きな脅威

小売業界に起こっているこうした状況を「小売業の終末」と呼ぶ人たちもいる。これをeコマースの台頭のせいにするのは簡単だ。実店舗が苦戦する中で、ネット通販は成長している。それに、アマゾンなど、ネット通販を行う小売業者が消費者の行動を劇的に変化させたのは明らかだし、ウォルマートやターゲットなどの大手小売業もインターネット上での存在感を強化しようとしている。

しかし、eコマースの影響は過大評価されているとも言える。

第1に、ネット通販業者が急成長しているのは確かだが、一般に思われているほど大きな存在にはなっていない。アメリカ国勢調査局が公式にデータを発表している。インターネットでの販売は、過去20年間で莫大な成長を遂げ、四半期(3カ月間)あたりの売上高が50億ドルから1550億ドルにまで拡大した。しかし、ネット通販が小売りの売上額全体に占める割合は、わずか11%だ。

さらには、アメリカにおける小売売上額の70%以上が、商品の性質上、あるいは流通の規制や法律のため、インターネットへの移行が進みにくいカテゴリーにある。例えば、自動車やガソリン、DIYやガーデニング用品、医薬品、食品、飲料などだ。

実は、ネット通販よりも、店舗数の減少に大きな影響を与えている要因が3つある。順不同だが、以下でその3つを説明しよう。

1.倉庫型店舗が成長

アメリカでもほかの国でも、人々が買い物する場所が変わってきている。ショッピングモールに入っているような小さな店舗からはだんだん離れて、独立型の大型店舗で買い物をするようになっている。シカゴ大学の経済学者、チャド・サイバーソンとアリ・ホタツは、4年前に小売業の近年の状況を分析し、会員制の倉庫型ディスカウント店やスーパーセンター(大型ディスカウント店で食品も扱う)は、eコマースを上回る規模で成長したと述べた。

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