「発達障害」と言い難い子どもが量産される背景 医療現場で起きている誤診・過剰診断とは?
発達障害とは直接関係のない、ある特殊な才能が、発達障害と誤診されていたケースがあることも近年明らかになりました。
発達障害、とくに自閉症スペクトラム障害との関連で語られる特殊な才能には、サバン症候群があります。一度聴いただけで曲の演奏ができるとか、過去未来のある年月日が何曜日であったか一瞬で答えることができるといった一種の特別な能力を持っている人のことです。
しかし、映画などの題材となり、よく知られるサバン症候群のことではなく、実は、一般的にはギフティドと言われる、とくに知能指数(IQ)が非常に高い子ども(や大人)が、往々にして自閉症スペクトラム障害や注意欠陥多動性障害といった発達障害と誤診されることが多いということがわかってきたのです。
アメリカではギフティド児(者)に関する社会的認知が進んでいますが、そのアメリカにおいてさえ、発達障害と誤診されることが多かったのです。私の外来にも、ギフティド児で発達障害と誤診されたと思われるお子さんが近年、増えてきています。
日本の発達障害への理解と対応に警鐘を鳴らす
こうした予期せぬ事態は私の診療に大きなインパクトを与えています。
医学的判断に基づいて、単純に診断し治療するだけでは、子ども本人とご家族の要望に沿うことができなくなってきているのです。これまでは、発達障害とその医学的な意味について、講演や取材を通して伝えてきたつもりでした。
しかし、それとともに、発達障害に関わる医療や心理、教育職の専門家に対しても、日本の発達障害への理解と対応について「なにか変だよ」と警鐘を鳴らさなくてはならない状況になっていると感じています。
なによりも、臨床の場で出会う、誤診や過剰診断で苦しむ子どもたち、そのご家族、また、学校や社会で当事者と関わるすべての方に、いま発達障害を取り巻く現場で起きていることを知ってもらいたいと、切に願います。
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