いきなり休校要請した安倍首相「時代錯誤」感

ジェンダー論の観点から休校要請を考えた

子どもたちの親も困る。今、現役世代の既婚女性の3分の2が、仕事を持つ。父親が家にいる家庭は少ない。これは、何かとしわ寄せをくらいがちな女性の問題でもある。つまりジェンダー問題である。小学生の子を持つ親は、金曜日に対策を取り月曜日から仕事を休んで子どものそばにいることが、実際に可能なのだろうか。何しろ小学生の子を持つ親全員が関わる問題である。1人2人の個人的な緊急事態とは次元が違う。しかも1カ月は長い。

それでも、祖父母が元気で近くに住んでいる場合、夫婦で交替して休む、あるいは在宅勤務などができる体制を構築できる人はいいだろう。困るのは、近くに頼れる親族がいたり、在宅勤務ができないシングルの母親、父親たちだ。どうしても休むことが難しい職種もあるだろうし、非正規の場合は、休めば貴重な収入減が奪われる人もいるだろう。

病気やケガを抱える親や要介護者を抱える親も、急な事態への対応は大変だ。主婦でも忙しい人は多い。介護やボランティア活動、息抜きの時間も阻害される。

国民や女性は自分に従う「駒」と見ている

安倍首相は、国民、あるいは女性を何でも言えば従う自分の「駒」のように思ってはいないだろうか。

子どもたちを集団生活から離して、感染が広がる可能性を防ごう、という判断はわかるが、そのために当の子どもたち自身を含め、多数の人々に与える影響をどれくらい考えたのだろう。今や多様化している国民を統率する首相がそのことにまったく思いも至らないとすれば、あまりにも想像力に欠けていると言わざるをえない。

今回の要請には、女性に家庭も地域活動も、ずっと任せきりで男性に仕事だけに専念させてきた自民党の姿がしっかりと映し出されているように思う。

女性たちは、すでに活躍している。家庭で子育ての責任の大半を担い、親たちの面倒をみ、地域を潤滑に回すために汗を流してきた。昭和からずっと。それ以前からずっと。

そこへ近年の「女性活躍社会」の掛け声である。女性たちはすでに社会へ出て働いてもいる。仕事をしなければ回らない生活のためであるし、自分自身のキャリアアップややりがいのためでもある。今と将来に自立するためでもある。自分と家族のために、子どもがいれば子どものために、すでに彼女たちは働いている。

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