ブラックロックが「脱炭素化」に本腰になる事情 金融機関に本格的に押し寄せる「ESG」の大波

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それに対して2020年の書簡は、わずか1年間でこれほどと驚くほど変化があった。

「金融の根本的な見直し」というタイトル自体が強烈だ。中身も、冒頭でブラックロックの受託者責任に言及した後、気候変動が企業の長期的繁栄を左右する決定的な要素になると述べている。

さらに、「気候変動に関するリスク認識は急速に変化しており、今、金融の仕組みは根本的な見直しを余儀なくされている」「投資家は気候変動リスクを投資リスクとして認識するようになってきている」などと踏み込んだ。低炭素社会の実現に向けて、政府と企業が協働する必要性や、低炭素社会への移行が経済や企業、投資収益に与える脅威に対しての強い認識が伝わってくる。

気候変動を金融で解決する強い意志

同時に出された、ブラックロックの商品やサービスを利用している顧客に宛てた書簡では、サステイナビリティー(持続可能性)を投資方針の中心に据えるための施策を明記している。

例えば、発電用燃料である一般炭の生産が経済効率の面で妥当性を欠くものになりつつあり、環境面から規制リスクにさらされていることを指摘。一般炭分野に長期的に投資する合理性はないとしたうえで、収益の25%以上を一般炭の生産から得ている企業からのダイベストメントを2020年半ばまでに実現させると明言した。 

ブラックロックの今回の発表で評価できる点は、自らの経済・社会に対する確信を持った長期的予測に基づいてダイベストメントを宣言していることだ。それは、若い世代がCEOやCIO(最高投資責任者)、政策立案者や国家の指導者になるに伴い、世界のサステイナビリティーに対するアプローチはさらに大きく変化していくという見方に基づく。

これは、2015年にイングランド銀行のマーク・カーニー総裁(当時)が、「ホライゾン(地平線)の悲劇」と呼んだ問題意識とも呼応するものだ。

カーニー氏は、ビジネスや政治における数年単位での近視眼的なサイクルと、気候変動という長期にわたるサイクルのミスマッチによって、気候危機対策が手遅れになりかねないと指摘。気候危機問題の解決には、政府のリーダーシップだけでなく、企業や投資家にも果たすべき役割があると訴えている。

また、業界別SASB(アメリカ・サステナビリティ会計基準審議会)ガイドラインの提言などに従い、世界の気温上昇を2℃以下に抑えるという、パリ協定の目標に沿った気候危機関連リスクの情報開示を強く促しているのも特徴的である。金融面から気候危機問題を解決するという強い意志が感じられる。

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