東原次期社長は"巨艦"日立をどう動かす? 東京本社からグローバルへ権限をシフト

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さらに日立のIT技術を生かせば、クラウドを通して製品のライフサイクルを予測することができる。製品動作のモニタリングは非常に重要で、部品が壊れるパターンや兆候が見えてくる。サービスグレードも上がるし、交換時を考えてカートリッジ式にしたほうがいいといった設計仕様にも反映できる。顧客が機器の停止時間を最小化できるだけでなく、われわれにとってもクラウドサービスはメリットがある。

――組織再編の可能性は?

グループをまたぐプロジェクトを束ねるために、組織として実行しやすい形にするのが、私の最初の仕事と考えている。これは国内だけで考えたらダメで、国や地域に合った省エネや節水といったソリューション提案が必要になってくる。地域ごとの電気料金や水道料金などの指標を踏まえたうえで、グローバルで事業展開できる体制を作らなければいけない。

自律分散型グローバル経営

――各部門が東京本社とやり取りするのではなく、地域ごとに判断できるようにする?

イエス!日立のトータルソリューションをもっと推進するには、力強いリーダーシップが必要になる。各グループの担当者に連絡を入れてお伺いを立てているうちは、いつまで経っても顧客の立場でビジネスプロモーションはできない。ある程度は地域に権限を委ねる形にシフトする。それが自律分散型グローバル経営という方向だ。

ひがしはら・としあき●1955年生まれ。徳島大学卒業後、77年に日立製作所入社。90年米ボストン大学大学院修了。電力グループCOO、日立パワーヨーロッパ社プレジデントなどを歴任。2014年4月社長就任予定。(写真は1月の社長就任会見時、撮影:今井康一)

そうなると地域でプロフィット(利益)を見ていく格好になるが、ここで地域のリーダーの考え方が重要になってくる。担当地域だけプロフィットが出ればいいと考えられては困る。常にグローバルと日立全体を考えるリーダーでなければいけない。

研究開発を例に取ると、われわれの地域でこんなことやっているけれど、中国やアフリカでも同じような省エネのニーズがあるなら共同で研究開発しないか、と考えるマインドセットが重要。それを私が鳥瞰しながら調整していく。

――不採算事業の構造改革に対する考え方は?

基本的な再編の考え方は2つ。1つはグローバルで戦うために、他社との提携で規模を大きくするための再編。もう1つは、不採算事業が日立の中にいるよりも、別企業と一緒になった方が強くなるために事業分離する再編。

その両方の考え方について、一通り勉強しているところだ。先の状況はわからないが、3年後、5年後を見ると事業の形は変わってくるだろう。

前田 佳子 東洋経済 記者

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まえだ よしこ / Yoshiko Maeda

会社四季報センター記者

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