新型コロナ「企業活動も止める」深刻すぎる影響 8割超の担当者が物流・調達の支障を明かす

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(2)中国国内の物流問題
 ●道路閉鎖による物流遮断
 ●トラックドライバーの不足
 ●エアー便の集中による取り合い
 ●一次サプライヤーの有する金型を代替国(日本、ベトナム等)へ輸送できず
(3)間接的な影響
 ●取引先(日本あるいは他国)が中国から完成品や部材、原材料を仕入れており、供給停止
 ●中国にある二次サプライヤー以降の情報は、そもそも取引開始時に入手しておらず、現時点でも解明できず

「手の打ちようがない」と答える担当者も

対策は、絶対解答がないため、各社とも苦しんでいる様子がうかがえる。

 ●国内、あるいはベトナム等での代替生産
 ●国内既存保有在庫の使用
 ●国内にある中古部品の再利用
 ●代替品の検討
 ●中国国内での停滞の場合は、ハンドキャリーなどの応急処置
 ●ひたすら催促
 ●手の打ちようがない
 ●フォースマジョールの申請

なお、「フォースマジョール」とは不可抗力条項と訳される。これは予想不可能な事象が起きたときに契約の履行を免れるもので、顧客に対して商品供給が難しい旨を伝えることを指す。

現時点では新型コロナウイルスへの対処療法を探して、各企業は奔走している状態だ。教訓を引き出すにはまだ早い。それにいつ収束を迎えるのかわからない。ただ、いったん騒ぎが収まれば、今後の企業行動に大きな影響を与えるに違いない。

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大げさにいえば、これは今後、「中国を選択するかしないか」というグローバリズムかアンチグローバリズムの選択である。中国は生産地としてだけではなく、マーケットとしても有望であるのは間違いない。ただし、今回のような感染症がまた生じる可能性もある。同時に共産党一党独裁制度は、今回の初動のように大きな問題を残した。

コストが上昇しようが日本国内へ生産を回帰させる可能性も検討しなければならない。グローバリズムが引き起こしたアンチグローバリズムという逆説。私たちは新型コロナウイルスへの対応とともに、次なる課題も突きつけられている。

坂口 孝則 未来調達研究所

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さかぐち・たかのり / Takanori Sakaguchi

大阪大学経済学部卒。電機メーカーや自動車メーカーで調達・購買業務に従事。調達・購買業務コンサルタント、研修講師、講演家。製品原価・コスト分野の分析が専門。代表的な著作に「調達・購買の教科書」「調達力・購買力の基礎を身につける本」(日刊工業新聞社)、「営業と詐欺のあいだ」(幻冬舎)等がある。最新著は「買い負ける日本」(幻冬舎)。

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