投資家「高宮慎一」生んだ憧れとコンプレックス スタートアップは「最高にクリエーティブだ」

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2000年代初頭は、起業家がベンチャーキャピタリストから選ばれるためにさまざまなVCに足を運び、ピッチをしてやっと資金調達にこぎつけるのが一般的だった。そしてそのパワーランスの中では、株式投資という投資行為であるにもかかわらず、起業家による個人保証が求められることも珍しくなかった。時に数千万円もの個人保証を背負わされた起業家が、一度失敗すると再起不能になるケースも多かった。

ところが昨今のベンチャー投資市場、とくに「ユニコーン」への投資についてはむしろベンチャーキャピタリスト側が選んでもらう立場だと、高宮氏は話す。

「メルカリは誰がみても、イケてるチームで、イケてる事業でした。僕はプロダクトが出て3カ月目くらいで投資したんですが、投資したいという投資家はすでに殺到していました。ではそこで、お金以外に何を支援できるかというところで差別化が必要でしたし、それがベンチャー側に選ばれる秘訣でもありました」

お金以外の支援とは?

「VCはいわば総合格闘技。究極の形は経営者が悩んでいることすべての相談相手になることです。ビジネスモデル構築やマーケティング戦略、採用、時にリストラまで、トータルファイターになる必要があります。とはいえ経営経験も業界経験も豊富な経営者相手に、何を提供できるのか。最初からトータルでできる人はいませんが、なにかしらとっかかりがないとしょうがない。

僕はもともと戦略コンサルティング会社にいたので、戦略や組織づくりの支援が得意でした。それをとっかかりとして、VCとして起業家を支援するなかで、自分が支援できる領域を拡大してきました。でもまだまだトータルファイターだと胸を張るにはほど遠く、日々起業家と苦労を共にしながら、学んでいます。学びに終わりがないというのも、VCの楽しいところですね」

「こういったハードスキルも欠かせませんが、もっと大事なのはソフトスキルだと思っています。人が好きで、起業家と同じ目線で未来をこう変えたいという想いがある。

例えばインターネットなど特定のテクノロジー領域が大好きで、酒を飲みながらその話をするだけで盛り上がれる。釣り好き同士が釣りの話をすると一瞬で盛り上がっちゃうみたいな、そんなノリで起業家と話せるか。意外とそういうソフトスキル、ヒューマンスキルのほうが大事なような気もします」

ベンチャー投資に関しては「一通りやるべきことは見えてきたと思う」と話す高宮氏。その一方で、投資先の企業が倒産しそうになったり、キーマンに退職されてしまったりと、いわゆるハードシングスは日常茶飯事だという。

「BtoCのビジネスはエンタメと同じで、ヒットorミスのビジネスです。ヒットするかミスになるかのゼロイチで、ヒットが出るかどうかは確率論でしかないと思うんですよ。

そうすると本来、5打席1安打の確率なんだけど、たまたま6打席入ったけどヒットが出ませんでしたということもあります。それは、もうどうしようもありません。でも、全力でやりきって、確率論的にはヒットが出るはずだったのが、たまたま出なかった。そういうことであれば、ナイストライでいいと思うんですよね」

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