投資家「高宮慎一」生んだ憧れとコンプレックス スタートアップは「最高にクリエーティブだ」

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グロービス・キャピタル・パートナーズの代表パートナーの高宮慎一氏(撮影:佐々木仁)
「どのベンチャーキャピタリストから投資を受けたいか」――。若手起業家と話していて必ずといってよいほど名前が挙がるのが、グロービス・キャピタル・パートナーズの代表パートナー高宮慎一氏(43歳)だ。
東京大学卒業後に戦略コンサルティング会社アーサー・D・リトルに就職。ハーバードMBAを経て2008年から同社に参画した。これまで投資し社外役員として成長を支援したベンチャーは、メルカリ、ランサーズ、カヤック、アイスタイルなど名だたる企業が並ぶ。2019年 1月に発表された「日本版MIDAS LIST(最も影響力のあるベンチャー投資家ランキング)」(ForbesJapan)によると、一連の投資行為によって得られたキャピタルゲインは339億円(同編集部推計)に及ぶという。
そんな高宮氏だが、ベンチャーキャピタリストというキャリアを選んだ根底には、強烈な「憧れ」と、自身のコンプレックスがあると話す。「ベンチャー」「起業」といった言葉がまだ一般的ではなかった時代、なぜ現在の職業を選んだのか。国内のベンチャー投資環境や、今後の展望について聞いた。

わざとカタカナ発音をした少年時代

メーカーに勤めていた父の転勤で、子ども時代に2度の海外生活を経験した高宮氏。幼稚園の年長から小1まではイギリス、小5から中3まではイギリスとオランダで学校生活を送った。いずれの時期も、周囲に日本人はほとんどいない環境だったという。

「周りとの違いをつねに意識させられたので、日本に帰れば周りと違わない、同質なんじゃないかという幻想を抱いていました。ところがいざ帰ってきてみたら、意外と自分自身が変化していて、どっちでもアウトサイダー感があった」

日本の小学校に編入すると、わざとカタカナ英語で発音した。ネイティブの発音は、浮いてしまう。周りになじもうとして必死になったが、つねに違和感を抱えながら成長した。

2度目の帰国後は私立の武蔵高校に入学し、東京大学へ進学する。大学時代はレコードにはまり、数千枚を所有。1970年代に100枚しか生産されなかったレア盤を入手し、ファッションデザイナーや写真家、イラストレーターといったさまざまなジャンルのクリエーターと組んで、イベントを開催していたという。

当時、イベントの開催場所を借りるには、最低保障金が30万円ほど。学生の身にはとにかくお金がかかった。そこをうまくプロデュースして、収支の帳尻を合わせるのが高宮氏の立ち位置だった。

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