「居場所がない子供」の声を17年聞き悟った答え 現代病に苦しむ子供に大人はどう向き合うか

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共同生活寮『ピースフルハウスはぐれ雲』を開設して以来30年以上、規則正しい合宿生活と農業を通じて、不登校や引きこもりの若者たちの自立支援に取り組んでいる川又直さん(写真:フジテレビ提供)

始まりは17年前(2003年)の夏だった。千葉県柏市で深夜の取材中、デパートの前で車座になって酒盛りをする少女たちに出会ったのだ。

一気飲みを繰り返す15歳の少女たち。彼女たちが何を考えているのか、知りたいと思い、話を聞くと、腕には痛々しいリストカットやタバコを押し付けた根性焼きの跡がある。家庭環境が複雑だったり、学校に馴染めなかったり、妊娠したり……涙ながらに誰もが「居場所がない」と訴えた。

子供たちと正面から向き合う熱血先生の存在

この傷だらけの子供たちに大人はどう向き合えばいいのか。この出来事をきっかけにフジテレビのドキュメンタリー番組「居場所をください」は始まった。

問題を抱えた子供たちに向き合っている大人を探し、最初に出会ったのが元暴走族総長の伊藤幸弘さんだった。

伊藤さんは親の手に負えなくなった子供たちを親元から預かり、自宅で自分の娘たちと一緒に面倒を見て、育てていた。

愛情を注げばどんな子供でも立ち直っていく、というのが伊藤さんの考え方だった。

伊藤さんの家に泊まり込みながら、伊藤さんが子供たちのために毎朝ご飯を作り、家族みんなで食べる様子など撮影していたが、毎日家にいると、想定外の事件に遭遇するようになる。そして感情がぶつかりあう場面に遭遇し、そのままカメラにおさめていった。そんな伊藤家とは今でも付き合いは続いており、取材班にとって第2の家族のようになった。

浅草に面白い先生がいる、と聞き、次に出会った熱血先生が菱田慶文さんだった。

プロ格闘技のシュートボクシングの選手だった菱田さんは、2002年から台東区のスクールパートナー(教育相談員)として、区内の中学校に派遣されていた。

しかし学校での撮影は制限が多く、「なんでいいメッセージを社会に伝えようとしているのに、こんなに抵抗されるのだろう?」というフラストレーションを覚えたこともある。

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